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自宅療養をサポート
神奈川協会 磯崎 哲男氏、三重協会 草川 雅之 |
(全国保険医新聞2021年10月15日号より)
(「コロナ禍と医療現場」特集へ)
新型コロナウイルス感染流行の第5波では、多くの開業医が急増した自宅療養のサポートに奮闘した。神奈川と三重での経験を紹介する。
電話で増悪症例の対応早めに―神奈川協会 磯崎 哲男
神奈川県では今年3月より、コロナ患者急増に対処するために地域療養の神奈川モデルの構築が始まっている。
私が勤務している横須賀市においては、3月に神奈川県庁より横須賀市医師会へ説明があり、私が担当者となり横須賀市医師会内部で神奈川モデルの横須賀版(地域療養の神奈川モデル関係)を作成し、6月より実施となった。
具体的にはコロナ感染患者の年齢、既往歴、性別、ワクチン接種歴、SpO2値などからスコアをつけ、入院するほどではないが今後悪化するリスクのある症例をピックアップする。その症例に対し、保健所の職員(非医療職)からではなく、訪問看護ステーションの看護師より連絡し、状態を把握し、対処するモデルである。
このモデルは6月1日から開始され、7月下旬から8月の第5波、さらに直近の9月20日までの間に対象者701人の在宅療養をサポートした。このモデルの良いところは医療者が電話で見守りを行うことにより、増悪症例を早めに拾い上げることや、すぐに入院とするのではなく、ある程度まで在宅療養が可能となる点である。
実際第5波の際には通常であれば入院相当である在宅療養患者にステロイド投与開始や在宅酸素開始が可能となり、実際私も患者さんに電話診療にてステロイド処方を行った。病院や県庁コロナ対策部門への負荷の軽減に役立っていた。
連日医師会から一人の医師が当番になるが、実際に訪問することはなく、電話対応だけでこのモデルが施行可能であった(訪問看護師が訪問した事例はある)。
今後の第6波7波の際にも有効に機能すると思われた。
医療機関6割以上が協力の意向―三重協会 草川 雅之
三重県は人口およそ180万人ですが、8月中旬から新型コロナ感染者数が急増し、8月第4週には10万人あたりの感染者数は150人を超え、入院調整中患者・自宅療養者も最多時は4,000人を超える事態となりました。
第5波は桑名、四日市を経て津市に至り、8月24日には、入院調整中の症例の中に、ハイリスクでありながら自宅療養を余儀なくされ、中等症TからUに至らんとする症例が発生しました。
この事態を経験した津保健所から8月25日に自宅追跡への電話診療等での協力要請があり、同日緊急アンケートを実施した結果翌日には約半数から回答があり、うち6割以上の医療機関から協力の申し出が得られました。特に自施設が診断に関わった症例やかかりつけ症例に対しては、多くの医療機関が追跡に協力すると回答されました。
そこで、かかりつけ症例を中心に、医療機関の関与が必要となる可能性が高い中等症症例を主な対象として保健所が個別に依頼するという申し合わせを行い、8月31日には県担当者、保健所、協力医の会するウェブ会議を開催し理解を得ました。
実際追跡事業が始まると急速な流行の減少と重なり、人口28万の津市では数十人の追跡対象がかかりつけ医を中心とした医療の対象となり、数人が酸素投与の指示を受け1人が酸素投与後も悪化し入院適応となった程度で、9月末を迎えました。
緊急事態宣言は9月末で解除されましたが、三重県ではリバウンド阻止重点期間に移行しています。
その際、先の緊急実態宣言下では求めないと口頭説明を受け文字化されていなかった自宅療養者への「往診」が県の実施する対策の中に文字化され、ホームページで開示されました。この経緯は県保険医協会はもちろん県医師会も相談を受けていないと聞いています。これが県民や行政、議会向けの、実現を目指さない「作文」でないことを願います。
以上