患者戻らず経営深刻化 第1波・2波より悪化
千葉協会調査
(全国保険医新聞2022年3月15日号より)
千葉協会は2月22日、コロナ禍の受診抑制、患者減で医療機関の経営悪化が続く実態について調査結果を公表した。調査では、3割から4割の医療機関で昨年6月〜11月の外来患者数が前年同月比で減少していると回答。耳鼻科や小児科をはじめほぼすべての診療科で受診控えによる経営困難が感染第1・2波より深刻化している現状が明らかとなった。
調査は昨年12月に実施し、診療科別に6〜11月の外来患者数、保険診療収入の増減等を聞いた。269人から回答を得た。
外来患者数が「前年同月比で減少した」との回答は、6月32.3%、7月36.1%、8月34.2%、9月36.1%、10月42.0%、11月32.3%だった。ほぼ同じ割合で保険診療収入も落ち込んでいる。比較対象の20年6〜11月は新型コロナの感染第1・第2波の時期に相当し、約7割の医療機関で患者減、収入減がより深刻化している。
耳鼻科、小児科以外も減収
診療科別で見ると、小児科は5割、耳鼻咽喉科は8割が減少した回答しているが、産婦人科、眼科、歯科でも受診減が顕著でほぼ全ての診療科で受診控えが起きている(表)。
政府は、医療機関の収入がコロナ感染拡大以前まで回復していると説明している。しかし、受診抑制による経営困難がより深刻化しているのが実態だ。地域医療確保に向けてすべての医療機関を対象とした診療報酬の引き上げ等を実施すべきだ。
患者戻らない、感染対策経費増も
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記者会見がNHKで報道された |
「今後の経営の見通しが立たない」との回答が11.2%、「閉院も考えている」が3.3%あった。その理由として、「患者が戻ってこない」が最多で「感染対策の経費増」を挙げる病院もあった。また、診療報酬引き上げ、感染症対策加算の復活、支援金支給要件の緩和と早期支給を求める声が寄せられた。
記者会見で千葉協会の宇佐美宏副会長は「がんの発見の遅れや進行、歯科でも虫歯が悪化したなどの事例が報告されている」「このままでは病院が地域から消えていくことが十分予測される」と述べ、受診控えで患者が重症化しても医療にかかれなくなることに懸念を示した。
千葉協会は、診療報酬引き上げに加え、コロナワクチンの接種委託費用の非課税扱いや支援金の追加・拡充を求めている。千葉県庁で開催した記者会見はNHKや千葉日報で報道された。
以上