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感染対策改善を緊急要望
算定要件、施設基準緩和を

全国保険医新聞2022年5月5・15日号より)

 

 ゴールデンウイーク最終日の5月8日、新型コロナウイルス感染症の1日あたりの新規感染者は全国で4万2,000人を超え、連休前よりおよそ1万7,000人増えた。政府はこの間、抜本的な感染拡大防止には背を向け、再拡大を繰り返している。こうした中でも医療機関は感染防止対策を講じながら医療を維持しているが、診療報酬改定で設けられた「感染対策向上加算」は要件が厳しい一方、労力に見合う点数とは言えず、地域医療全体の感染防止対策を後押しするには課題が多い。

ハードル高く対応困難

地域の感染防止 足並み乱れる

診療報酬改善を厚労大臣らに求めた要望書

 感染対策向上加算は、病院・有床診を対象とする同加算1(入院初日710点)、2(同175点)、3(同75点等)と、診療所の外来を対象とする外来感染対策向上加算(月1回6点)からなる。新型コロナおよび今後の新興感染症に対応できる医療提供体制の構築に向けて、向上加算1を届け出た病院が中心となって、他の加算を届け出た医療機関と、感染症発生状況や院内対策等について連携しながら、地域での組織的な感染防止対策を目指す。
 各加算の要件では、感染患者の入院受け入れや、発熱外来を実施する体制が求められ、感染症患者(疑い含む)を直接診療する病院、診療所に対象が限定された。院内感染対策に関するカンファレンスと訓練への参加、医師や看護師らが専任スタッフとなる感染防止対策部門の設置も必要だ。
 医療機関の規模に応じて算定要件や施設基準に軽重はつくが、病院、診療所ともにハードルが高い。
 また、連携の中心となる向上加算1を届け出た病院の体制について、厚労省は、新型コロナ感染症に関する「重点医療機関が該当する」との解釈を示した(3月31日付疑義解釈)。重点医療機関にもなれたが、都道府県との協議の結果、協力医療機関に指定されていた病院では同加算1を算定できない事態を懸念する指摘もある。向上加算1を届け出た病院との連携が求められる医療機関にも影響しかねない。外来の向上加算の算定を検討する診療所からは、連携先が少ないなど届出が困難との声が上がっている。
 感染防止対策のための人員や資材確保、連携の後押しとなる点数が機能しなければ、地域の感染防止対策の足並みが乱れかねない。

全ての医療機関を評価した上で

 保団連は4月17日、診療報酬の改善を求める緊急要望として、入院、外来の感染対策向上加算の算定要件、施設基準の緩和と点数の引き上げを要望した。感染症発生時の医療機関が連携した対策は充実させるべきだが、そのためにも政府が昨年9月に廃止した感染防止対策実施加算(初・再診料1回5点、入院料1日10点)のように全ての医療機関の努力を評価し、その上で、必要な連携を後押ししていくべきだ。
 要望では半減させられたPCR検査の点数を、直ちに引き上げることも求めた。新型コロナ感染が収まりを見せない中、検査体制の維持・拡充は最低限必要な措置だ。
 これに加えて、新興感染症への対応については、保健所機能の充実や国庫負担の投入によって患者負担が生じない措置も議論する必要がある。

以上

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