健保3割負担で受診抑制進む

 診療報酬支払基金は、11月5日までに、03年8月診療分までの診療報酬支払い状況を発表しましたが、それによると8月診療分の被用者保険の医療給付額は、対前年同月比8.5%減となり、健保本人の負担が3割に引き上げられて以降、最大の減少となりました。

 医療給付額は、自己負担分を除いた残りの金額であり、受診状況に変動がなくても自己負担が増えた分の金額は減少しますが、月を追う毎に給付額がより減少していることは、給付が減っただけでなく、受診が抑制されていることを示すものです。

 受診者数の動向を表す「支払い確定件数」をみても、今回負担増がなかったサラリーマンの家族の通院は、医科(外来)0.3%増、歯科2.2%減に対し、負担が増えたサラリーマン本人は−4.7%(外来)、−6.1%(歯科)と大きく落ち込んでいます(図)。

 負担増により受診が抑制されていることは、支払基金の統計からも明らかであり、このことが国民の健康に悪影響を及ぼすことが危惧されます。誰もが安心して受療できるよう、負担の軽減こそが求められます。