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徹底的な事件の真相究明と皆保険制度にふさわしい診療報酬のあり方の抜本的改善を希求します
中医協巡る贈収賄事件報道に関して
2004年 4月15日
全国保険医団体連合会
歯科代表 宇佐美 宏
東京地検特捜部は、4月14日、臼田貞夫日本歯科医師会長ら歯科医師会関係者5人を贈賄容疑で、前中医協委員で健康保険組合連合会副会長(元社会保険庁長官)の下村健氏、中医協委員(連合副会長)の加藤勝敏氏を収賄容疑で逮捕しました。報道によれば、2002年の診療報酬改定に際して贈賄側の「中央社会保険医療協議会(中医協)での歯科医に有利な発言」依頼に対して、収賄側は「現金などのわいろを受け取った」とされています。
中医協医療経済実態調査結果で端的に示されているように、今多くの歯科保険医療機関は、政府の医療費抑制政策のもとで、経営打撃を被り、歯科医療機関の存続さえ危ぶまれる状況におかれています。また国民の多くも、連続的な患者負担増の結果、受診抑制を余儀なくされています。
我々、全国保険医団体連合会は、このような状況を改善し、保険でよい歯科医療が行えるよう、患者負担の軽減とともに、「かかりつけ歯科医初診料」について導入当初から廃止を求めるなど、診療報酬の改善に取り組んできました。こうした中で、報道どおりの内容であれば、今回の事件は、中医協のあり方とともに、歯科医師に対する患者・国民の信頼を大きく傷つける許し難い犯罪行為です。
贈賄側容疑者の日本歯科医師会臼田会長はじめ日歯幹部の責任は重大です。また収賄側容疑者の一人下村氏は厚生省保険局長(当時)として、診療報酬改定の諮問に関わってきた経歴からいって、その社会的責任は一層重大です。
我々は、事件の再発防止のために、司直による徹底的な真相究明とあわせて関係者が自ら真相を明らかにするよう求めます。
同時に今回の事件は、長期にわたって診療報酬が、政府の公的医療費抑制政策誘導手段として、「密室審議」で行われてきたことが背景にあり、このような診療報酬の決め方が歯科保険医療の内容をゆがめ、歯科医療従事者にも、国民にも弊害を生み出してきました。
我々は、診療報酬についての国民の信頼を回復するため、中医協審議の全面公開、中医協委員に、現場の医療従事者の代表、患者住民の代表を加えるなど、皆保険制度を維持発展させるための診療報酬のあり方の抜本的な改善を早急に行うよう強く求めるものです。
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