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社会保障関連予算自然増分2200億円削減に抗議します

2004年8月1日
全国保険医団体連合会
副会長  住江 憲勇


 7月1日、厚労省は2002年のジニ係数0.4982と発表しました。世界に例を見ない驚くべき数字であり、所得格差の拡大という今日的収奪・搾取が確実に、深刻に拡大しています。そして、それを反映した生活苦による30才〜40才代の急増による昨年の自殺者34,427人という7月30日警察庁発表です。6年連続3万人突破という悲しむべき結果です。こうした事態のもとで、国民の生活基盤である社会保障制度の充実こそが、国民の圧倒的多数の願いです。

 これに背を向けた来年度予算の社会保障関連費削減は、断固容認できません。医療の分野では、来年度は制度的「改革」の予定がない中で、この2200億円削減をどこで捻出しようとしているのでしょうか。7月29日の保団連の財務省交渉では、医療の分野でも予算削減を否定していません。

 こうした中で厚生労働省官僚の2006年4月の次回診療報酬改定をにらんでの「慢性期入院は介護保険に一本化すべき」「標準回数を超える診療や検査は特定療養費を適用する」などの発言が相次いでいます。日本医師会や病院団体の代表は、混合診療には反対表明するものの、特定療養費制度については拡大容認の方向を表明しています。診療報酬の相次ぐ引き下げという状況下で、特定療養費の拡大は、当面の財政的裏付けとはなり得ても、結局は患者、国民負担増であり、受診抑制へと導くものです。

 今求められているのは、度重なる社会保障制度改悪により生み出された受診抑制による健康破壊などから、国民生活をどう防衛し、改善を期するかということです。国家財政機構からの再配分の重きを、相変わらず大企業に置くのか、国民の生活基盤である社会保障に置くのか、この一点です。