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混合診療「実質解禁」で公的保険範囲の縮小を加速させる「規制改革答申」は撤回を 

                                 2004年12月25日
政策部長 津田 光夫

 規制改革・民間開放推進会議は12月24日、小泉首相に「第1次答申」を提出しました。医療分野で営利事業を拡大しようとしている民間保険会社などの企業代表や出向者が中心となって、自らの企業へ「利益誘導」を図るような答申は、到底容認できるものではありません。直ちにその撤回を求めるものです。我々は、国民皆保険制度による皆保険医療を充実する立場から、以下にその問題点を指摘します。

 第1の問題は、「いわゆる『混合診療』の解禁問題については、『基本的合意』において具体的要望のおおむねすべてに対応することができる」とした上で、厚労相と規制改革相の「実質解禁」合意について、「その確実な実施」を迫っていることです。さらに、包括的な混合診療の解禁については、来年度にも「構造改革特区」制度を活用して導入することを盛り込みました。医薬品の「コンビニ販売」の解禁についても、2006年の通常国会へ薬事法「改正」案の提出を求めています。また、介護保険3施設における「居住費・食費」を来年度から全額自己負担とすることを明記しました。

 こうした計画が実施されるならば、患者、国民にとって必要な医療が保険に導入されないまま放置され、保険外負担が拡大するなど、公的保険での給付範囲が年々狭められ、主要先進国の中でも重い患者負担がいま以上に増大するのは明らかです。経済力のある患者とそうでない患者間の「医療の不平等」が拡大することは必至です。 

第2の問題は、「医療法人を通じた株式会社等の医療機関経営への参入」として、包括的な混合診療の解禁と一体で、「構造改革特区」における株式会社立の医療機関の「参入要件」を緩和するよう求めていることです。あわせて、現行の医療法人とは別の医療法人を新たに創設し、「企業が運営面や資金面で支える」ことを認めることを盛り込みました。これによって、株式会社が当該医療法人への資金提供、運営参加を通じて、事実上、医療機関経営に参入することが可能となる恐れがあります。

 第3の問題は、中医協の「在り方の見直し」議論から、医療団体関係者を排除したことです。中医協の改善は当然必要ですが、求められているのは審議の透明性と患者、国民、医療関係者の声の反映です。来年2月にも設置される検討組織で「中医協の機能・役割」などの検討を行うとしているが、医療団体関係者は除かれています。保険医療の内容と給付範囲を決定する診療報酬を審議、決定する中医協の役割から見て、医療団体関係者を含めた改善の議論を尽くすべきです。                           

以上