新たな管理指標による公的医療の縮小方針は撤回を2005年6月21日 小泉首相が議長を務める経済財政諮問会議は6月21日、「骨太方針2005」を答申、同日、閣議決定しました。 焦点の社会保障給付費への「総額管理」の導入は、「経済規模とその動向に留意し」「厳しく抑制」、「医療費適正化の実質的な成果を目指す政策目標を設定」するなどが明記されました。 とりわけ、医療制度「改革」では、保険給付の内容・範囲を狭めることや、診療報酬改定は、「賃金・物価の動向や経済・財政とのバランス等を踏まえ検討」することが盛り込まれました。 経済財政諮問会議と厚労省はこの間、「総額管理」について、何を指標に抑制するかということについては意見が異なっても、医療費の伸びの管理・抑制が必要との認識では一致しています。「骨太方針2005」は基本的に、社会保障給付費、とりわけ医療給付費の伸びをきわめて不当な水準に抑制しようとするものであり、我々は、どのような指標であろうとも公的医療を縮小しようとする方針には断固反対し、その撤回を強く求めるものです。 そもそも「総額管理」は、各分野別の給付抑制の仕組みを一本化して抑えこもうとするものです。そのめざすところは、単純に額を削るだけではなく、それによって制度の全体を、社会保障本来の普遍性や公平、平等といったあり方を否定した制度に切り替えようとするものといえます。 すなわち、「保険主義=負担なければ給付なし」と「公私2階建て」の考え方を徹底し、民間保険と同様な考え方で運営しようという方向です。国民の自己責任・自己管理を強める一方で、国の責任の回避が仕組まれています。 同時に、大企業の社会的負担を軽減し、社会保障分野の市場化を促進し、そこで、企業が「自由に」利益追求ができるようにするための社会的規制の撤廃が狙われていることも指摘します。 小泉「構造改革」によって、保険料や患者自己負担が重くなり、給付は削減されてきました。国民の所得格差が年々拡大し、日本は米国、英国に次ぐ「格差社会」となりました。一方で、トヨタに代表される大企業の収益が過去最高となっています。 今、必要なことは、国民の健康と健全な社会の発展のためにも、生存権をも奪う公的医療の縮小を止め、『保険証1枚』で安心してかかれる医療制度への政策転換を図ることです。 参考 |