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国民投票法案の採決に抗議します

2007年5月15日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

一、14日の参議院本会議において、憲法改定の手続きを定める国民投票法案が与党の賛成多数で可決、成立しました。

当会はこれまでも、今回の法案に対し、くり返しその危険な内容について指摘し、廃案を求めるとともに、今国会での慎重審議を重ねて要求してきました。しかし、政府と自民党、公明党の与党は何が何でも今国会中に法案を成立させる立場から、短い国会審議のなかでも明らかになった重大な問題点を解明もせず、採決を強行した暴挙を認めることできません。また、今国会での成立を望む声は少数であるにもかかわらず、参議院では中央公聴会すら開催せず、国民世論を無視した国会運営をおこないました。さらに、法案の採決には反対したものの、こうした国会運営に賛成し事実上法案採決に加担した民主党の責任も免れません。

私たちは、国の基本にかかわる憲法の改定に直結する法案を十分な審議もせず、採決を強行した暴挙に対し、断固抗議します。

一、安倍首相は、7月の参議院選挙において憲法「改正」を争点にすることを明言し、選挙後、憲法審査会の設置を経て、改憲案の審議を急ごうとしています。また、今回の国民投票法案の成立を契機に、新憲法制定集会を全国で開催し、改憲世論を一気に盛り上げ、九条改憲の多数派形成を企てています。

さらに、安倍首相は、先の日米首脳会談で集団的自衛権の行使を憲法改定前にも可能にすると対米公約をおこない、「安全保障の法的基盤の再構築に関する有識者懇談会」や自民党の「集団的自衛権に関する特命委員会」を設置し、早期に結論をとりまとめさせようとしていることは重大です。

これらの憲法改定の動きや今回の国民投票法案の成立が、憲法9条を変え、戦争をできる国づくりの策動と一体のものであることは明白です。

最近の新聞各紙の世論調査では、憲法が「日本に平和が続き経済発展をもたらした」が87%(「読売新聞」4/6付)、「日本が平和であり続けたことに9条が役立ってきた」が78%(「朝日新聞」5/2付)など、憲法9条を評価する声が圧倒的です。「9条の会」が全国6千を超える地域組織を立ち上げるまでに発展していることも背景に、9条を評価する声が国民大多数の声になっています。

この間、医療者の分野でも「九条の会」の運動に連帯し、「九条の会・医療者の会」が結成され、北海道、宮城、山梨、富山、石川、愛知、京都、大阪、兵庫、広島、香川、愛媛、宮崎、鹿児島で、地域の医療者の会が結成されています。

私たちは、「開業医宣言」(1989年保団連第27回総会で採択)において、「歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに反対」することを表明しています。その立場から今回の改憲の動きを断固許さず、全国各地で各層各分野の方々と協力、共同し、「憲法改悪反対、憲法9条、25条を守れ」の運動を一層ひろげ、改悪を阻止するために全力をあげる決意をあらためて表明するものです。