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※全国保険医団体連合会では、下記の要望書を発表し、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:179KB]

【要望書】「発熱外来診療体制確保支援補助金」
運用に関する緊急要望書

2020年12月7日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 新型コロナウイルス感染症対策に対するご尽力に、敬意を表します。

 さて、当会ではこれまで10月2日11月9日の2回にわたって、「発熱外来診療体制確保支援補助金」等に関する緊急要望書を提出し、新型コロナウイルス感染症の疑いのある患者の診療・検査等の体制及び施策の改善を求めてきましたが、いまだに十分な対策が講じられているとは言えません。

 また、実際に診療・検査医療機関に手を挙げて、取り組みを進める中で、制度の更なる問題も明らかになってきました。
 特に問題なのは、「診療・検査対応時間」に、発熱外来以外の患者さんを診療した場合も補助金が減額されることです。
 地域住民の診療・検査体制を確保するために、通常の診療時間帯に「診療・検査」を実施する医療機関は、少なくありません。
 こうした医療機関は、新型コロナ感染症から地域住民の命と健康を守るために、大きな努力と犠牲を払いながら、通常の診療に加えて、感染防御体制を確保した診察室等を整備して、献身的に取り組んでいるものです。
 少なくとも「診療・検査対応時間」に、発熱外来以外の患者さんを診療した場合に補助金が減額されることのないよう、強く求めます。
 インフルエンザ流行期には、これまでよりも多くの発熱患者が発生する可能性があり、かかりつけ医にも多くの相談や受診希望が寄せられる可能性もあります。こうしたことから、発熱外来を設置する医療機関に対する補助金を創設することは当然ですが、保健所等が担ってきた相談・検査体制を民間医療機関に丸投げすることがあってはなりません。
 「発熱外来診療体制確保支援補助金」の改善を実施するとともに、保健所等が担ってきた相談・検査体制を民間医療機関に丸投げせず、新型コロナ感染症に対応する保健所等の人員と予算を大幅に増員し、全国どこでも相談・検査が実施できる体制を構築することを改めて求めます。

1.

「発熱外来診療体制確保支援補助金」について、下記の制度改善を緊急に行うこと。

(1) 発熱患者等を受け入れれば保険収入があるとして補助金が減額され、1日20人(かかりつけ患者等のみを受け入れる場合、1日5人)以上診察をした場合は補助額がゼロになるのでは、現場で大変な思いをして対応した医療機関が報われない。最低給付額を設け、受診者が基準患者数を上回っても補助金がゼロとならないようにすること。
(2) 「診療・検査対応時間」において下記の患者を診察した場合に「発熱外来診療体制確保支援補助金」を減額する取り扱いを止めること。
ア. 別の診察室で他の疾患等の患者の診療を行った場合(1人診察するたびに、13,447円の2分の1を減額する)
イ. 発熱外来専用の診察室で他の疾患等の患者の診療を行った場合(1人診察するたびに、13,447円を減額する)
(2) 医療機関や医療従事者への誹謗中傷・風評被害が根絶されておらず、手上げに躊躇する医療機関が少なくない。医学的根拠に基づいた広報や教育の実施等、これまで以上に対策を講じ、医療機関や医療従事者への誹謗中傷・風評被害を根絶すること。またインターネット等を通じた医療機関名の公開は、希望する医療機関に限ること。
(3) 職員への危険手当の制度化や、感染した場合の休業補償、損失補填を行うこと。
(4) 「発熱外来診療体制確保支援補助金」と、当該補助金の支給対象である「診療・検査医療機関(仮称)」の指定要件の説明が全く不足しているため、現場では混乱が生じている。また、コールセンターの電話も非常につながりにくい。混乱が生じないよう必要な対策、体制の整備を早急にとること。
(5) G-MISのIDの付与を早急に行い、感染防護具等の供給をスムーズに行うこと。また、検査機器の供給力の強化を図り、医療機関での検査キッド等の購入に対する補助金を創設すること。

2.

PCR検査、抗原検査等の検査料及び判断料を全額公費負担とした上で、公費請求額を大幅に引き上げ、検査を実施する医療機関の尽力が報われるようにすること。また、医師の自己診療を認め、周知すること。
 また、すべての保険医療機関を「行政検査に関する委託契約を締結した」とみなし、希望する保険医療機関が医師の判断でPCR検査及び抗原検査を実施し、公費請求できるようにすること。

3.

保健所等が担ってきた相談・検査体制を民間医療機関に丸投げせず、新型コロナ感染症に対応する保健所等の人員と予算を大幅に増員し、全国どこでも相談・検査が実施できる体制を構築すること。

4.

地域の医師・医療従事者が協力して検査を行う「地域外来・検査センター」を増やすこと。そのため、設置・運営費用について、国が全額を負担し、出務する職員等に十分な給与・出務費を保障すること。

5.

かかりつけ医等の地域で身近な医療機関において電話相談を行うこととしているが、職員による電話や窓口対応も、これまで以上の労力・対策を要する。電話での診察行為に当たらず保険請求の対象にならない医科・歯科及び介護保険施設での電話対応についても補助金を創設・交付するとともに、医科・歯科医療機関及び介護・障害者福祉サービス事業所等の報酬を引き上げること。また、医療・介護従事者に対する慰労金の対象期間の延長や支給対象の拡大などを図ること。

6.

発熱患者が医療機関を受診する際には、電話などで事前に連絡をすることの周知を図ること。

以上

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