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保団連「2015受診実態調査」全国集計の概要

2016年3月31日
全国保険医団体連合会

 

 全国保険医団体連合会は、2015年11月から1月にかけて、全国の会員医療機関を対象に、加盟する保険医協会・医会を通じて「受診実態調査」を実施した。本調査は、治療の中断、投薬拒否等、医療現場で起きている患者の受診抑制の実態を明らかにすることを目的に、2010年に第1回目を実施、今回5年ぶり2回目の調査を行った。
 2010年の調査では約1万人の会員から回答を得た。「この半年間に、主に患者の経済的理由から、治療を中断または中止する事例がありましたか」について、約4割の医療機関が「あった」と回答した。また、具体的事例も多数寄せられ、経済的理由による受診抑制の実態を明らかにした。
 前回の調査から5年が経過するが、その間にも「70〜74歳窓口負担2割化」や消費税増税など、政府による患者負担増、国民負担増が行われている。国民生活の指標はいずれもこの5年で悪化しており、医療現場での経済的理由による受診抑制は深刻化が懸念される。
 しかし、「治療中断」「検査、投薬拒否」といった受診抑制の実態は、厚生労働省の「患者調査」等では把握されていない。本調査は、治療の中断、投薬拒否等、医療現場で起きている患者の受診実態を明らかにすることを目的に実施した。

○ポイント

前回に引き続き1万件を超える回答があり、会員の受診抑制に対する関心の高さがうかがえる。
約4割の医療機関で患者の経済的理由による治療中断を経験している。
約4割の医療機関で患者の経済的理由による「検査、治療、投薬拒否」を経験している。
歯科で「治療中断の経験あり」の割合が高く、医科で「検査、治療、投薬拒否の経験あり」の割合が高い。
医科の結果を診療科別にみると、小児科の「治療中断」、「検査治療投薬拒否」「あった」の割合が他科に比べて非常に低く(約8%)、医療費助成制度の拡充の成果と考えられる。
医科で、主な診療科別に病名を見ると、内科では「高血圧」「糖尿病」がそれぞれ6割を超えている。外科では、「その他」が6割を超え、その他・病名(n138)の記載では「骨粗しょう症」(56件)、「リウマチ」(29件)の順に多かった。歯科では約9割が「歯冠修復・欠損補鉄」を上げた。
約5割の医療機関で未収金が発生しており、未収金「あり」との回答のうち、「全額回収できた」は3割を切っている。
約7割の医師・歯科医師が、75歳以上の高齢者の窓口負担2割化は受診抑制につながると回答。

調査結果資料[PDF:376KB]

以上