口腔崩壊の子 全国各地に ― 検診後のフォローが必要
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中学校への調査では、学校歯科検診を受けた子どもは44万8,970人で、要受診と診断された子どもは31.0%(13万9,090人)だった。
このうち、歯科検診後に歯科医療機関を受診した子どもは33.4%(4万6,474人)で、未受診が66.6%(9万2,616人)と6割以上の子どもが未受診である(図1)。
口腔崩壊の子どもが「いた」学校の割合は32.7%だった(図2)。
「上下7番の4本全てがC4の状態の子どもがいた。小学校のときから一度も受診しておらず、3年生では歯の根しか残っていない状況」「むし歯のない子どもと1人で何本ものむし歯がある子どもの二極化が進んでいるように思う」などの実態が寄せられた。
また、「歯科治療は痛みが伴うと思い込みが強く、治療(受診)を進めても本人が行こうとしない」「部活動や塾等の習い事により、時間を作ることが難しく、治療へ行かない子どもがいる」など、子ども本人の歯科治療に対する忌避や部活動、学習塾などから時間がないなどが理由として指摘されている。
学校における検診は、「潜在する疾病を早期に発見し適切な処置を講ずること」などを目的としている意義ある取り組みである。しかし、調査で把握できた全国21都府県の小中学生だけでも、歯科検診後に必要な歯科受診を行っていない子どもが25万9,724人いた。学校検診が早期発見、早期治療につながっていない現実がある。
窓口負担無料化など、子どもが受診をしやすくする制度の整備も必要だ。
子ども医療費無料制度は全国に広がっているが、償還払いでは受診のたびにいったんは窓口で3割を支払わなければならない。
200円、500円など少額でも、毎回定額負担が必要になると貧困な家庭には受診のハードルが高い。さらに、制度利用は各家庭からの申請が前提となっており、就学援助の学校医療券なども対象となる全ての家庭(子ども)が受給できるようになっているのかは不明である。今後の実態把握が必要だ。
今回の調査で、歯科検診で要受診となった子どもの多くがその後未受診である実態、口腔崩壊という深刻な事態が全国的に見られることがわかった。
背景に保護者の無関心、ネグレクトなどとともに、格差と貧困、保護者の厳しい就労状況等が見てとれる。
今後この調査を生かして、子どもの口腔の健康の改善に向けて、学校、歯科医療界、行政の関係者をはじめ社会全体で取り組んでいくことが求められている。
保団連は6月7日に開催したマスコミ懇談会で、全国の歯科治療調査の結果を発表。日本テレビ、毎日新聞社、共同通信社などマスコミ17社が参加した。8日朝の日本テレビ番組「ZIP」と、ネットニュース「日テレNEWS24」で報道された。
調査方法
各協会・医会から都府県内の小中高等学校、特別支援学校に郵送で調査用紙を送付、郵送又はFAXで返信を得た。
以上