高額医療費の未償還約３割、自治体間に大きな格差

　保団連は、昨０２年１０月から導入された高額医療費制度について、各保険医協会を通じ、各市町村の償還状況や未申請者に対する対策等をアンケート調査しています。０３年１０月１日までに回答があったのは３８都道府県の２２４３市町村から回答をいただいています。

　それによると、制度が始まった０２年１０月１カ月だけでも、償還されるべき患者さんの３２.３％が申請の手続きをしておらず、１１億円以上が償還されていないことが明らかになっています。大阪など再度発足以降の累計で償還額を出している府県も含めると、現在わかっているだけでも２２億７５００万円以上の未償還額が存在しています。

　中には、大阪市１市だけで、７億６８９２万円（未償還率７０.３％。０２年１０月から０３年３月までの６カ月累計）にものぼる未償還を抱えているところもあります。他方では、対象となっていない人も含め、全ての方に事前に申請を呼びかけ１００％償還しているところもあり、市町村によって格差が大きいのが現状です。

　また福岡県は、調査時点で１億８０００万円を超える未償還がありましたが、同県の保険医協会が県や市町村に働きかけ、対象者への個別の通知や、郵送等の申請方法の簡便化などの改善が行われるようになりました。大阪・堺市では、未申請者が多いことが問題になり、保険医協会など医療団体や地域の労働組合・諸団体が共同で市に要請したり、市の医師会も改善を迫るなどした結果、「あらかじめ登録しておくと自動的に指定の口座に振り込む」方式に改善され、制度を知らせるポスターも作成されることになりました。

　本来患者さんに償還されるべき医療費ですが、高齢者に制度の仕組みをわかっていただくことが難しい上に、自ら対象になるかどうか気にかけたり、役所に出向いて申請したり、と患者さん自身にとっても煩雑で、十分償還が進んでいない現状です。