2021・No.1344
月刊保団連 4
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「道」
強制ではなく、相互の尊重と協調を基本に
新型コロナ医療提供体制の前進を
吉中丈志
特集
町医者という生き方
超高齢社会の町医者のススメ
●超高齢社会を迎え、高齢の患者の生活の質をできるだけ高い状態で維持できるように管理し支援することが医師、特に町医者に求められる。町医者は長きにわたりかかりつけの患者と付き合い、患者の健康を守るために日々奮闘する。その中で、高齢の患者や介護する家族を支えるため地域の多くの職種と連携・協力する必要がある。本稿では私の町医者人生や症例を振り返り、地域医療を担うやりがいや要点を考える。
嶋田一郎
私の「開業医宣言」
患者・国民とともに地域医療を充実させる
●日常診療で多くの患者が町医者に望むことは、何でも言える身近な相談医である。地域に根ざし、質の高い医療を提供しようと懸命に頑張る時、「開業医宣言」は人生の荒波を乗り越えてきた先輩開業医からの熱いメッセージとして強く心に響く。全人的医療、患者との対話を基に全力で診療にあたり、社会保障の充実を求めて患者・国民とともに医療改善に取り組むために「開業医宣言」は欠かせない存在である。
竹田智雄
医者が大病に見舞われたとき
●約5年前にMRSAによる右腸腰筋膿瘍・化膿性脊椎炎・敗血症に罹患し、一時は生命も危ぶまれたが、関係者の多大な協力で快方に向かい、現在は、ほぼ病前の生活に戻れた。休診期間は4カ月に及び、妻、スタッフ、近隣の医療機関や調剤薬局の方々に助けられ、通院中あるいは訪問診療の患者さんに医学的管理を継続できた。また休業保障等の備えで経済的損害も最小限に抑えられた。
三宅 靖
新型コロナ感染症に罹患して
保険医の疾病・休業のリスク
●新型コロナウイルス感染症は、いまだ収束の気配が見えない。医療従事者の感染も相次いでおり、医師・歯科医師は日々の診療で感染リスクにさらされている。東京都内で開業する歯科医師の山本稔(仮名)氏に、自身が新型コロナウイルス感染症に感染して入院、その後療養を経て診療に復帰するまでの体験を聞いた(聞き手:編集部)。
山本 稔
保険医の健康事情
●各保険医協会・医会では「保険医休業保障共済保険(休業保障制度)」を取り扱っている。新型コロナウイルス感染症に関連する給付請求も毎月寄せられているが、それ以外の給付も含め、休業保障制度から、保険医の健康状況を見ていく。
全国保険医休業保障共済会
地域で生きる女性開業医として
●名古屋市の下町である北区で開業して6年半が経過した。開業して良かったことは、自分の判断で新しいものを取り入れられる小回りの良さだと思っている。一方、大変なことは常に人事だ。開業当初は従業員に遠慮して注意しづらかったが、駄目だと気づき、最近は早めに注意するようにしている。診療所は徐々に地域に受け入れられ、やりがいと責任を感じている。近隣の病院、診療所、訪問看護ステーション等と連携して、地域の方に安心して通ってもらえる診療所をつくっていきたい。
佐野由衣
ホームレス診療を継承して
●母の死をきっかけに医師を志し、消化器外科医に進む。その後、ホームレス支援をライフワークとする杉浦医院を継承する。前院長の故杉浦裕はホームレス・生活困窮者支援や労災被災者支援、外国人の健康診断などの活動を続けてきた。医院継承でこうした活動も引き継ぐことになった。開業してからは、積極的に医学生の実習を引き受け、未来の医師へ自分の思いを引き継ぐよう心掛けている。
森 亮太
学びと出会いが私の原動力
●生まれ育った北海道を飛び出し、はるばる九州の大学に進学。北九州の地で地域医療と産業保健の橋渡しを理念に開業し、その思いを込めて当クリニックDENTAL 4 C と命名した。望郷の念に駆られることもあるが、福岡県歯科保険医協会の存在は、今まで以上に「出会い」「学び」「行動」の楽しさを知るきっかけとなり、「福岡に残ろう」と呼び戻されている。
松崎友祐
ネットの悪質書き込みへの対処法
●ネット社会は便利だが、簡単に相手の人格を否定できる。少しでも自分の主張に合わなければ「話し合う」のではなく、ネット上に誹謗中傷を書き込まれる傾向にあり、誰もが巻き込まれる可能性がある。寄せられた苦情に対し、ネットサイトの運営会社は、内部規定を理由に削除に応じないなどの対応をとるところが多い。開業したばかりの医療機関にとってはネット上の誹謗中傷は場合によっては経営上の死活問題になる。どう対処すればよいか、原則的な対処と実践例を報告する。
尾内康彦
スタッフが辞めない職場づくり
良好な人間関係で、良質な医療提供を
●医院経営の上での大きな悩みとなるのが、職場の人間関係である。それが原因でスタッフが辞めることもあり、せっかく育ててきた人材を失うことは日常診療にも影響するため、その損失は無視できない。スタッフが一丸となってチームワークを発揮するためにも、院長のリーダーシップによる職場づくりが重要である。
太田志朗
診療研究
糖尿病治療の最新の話題
〜糖尿病診療ガイドラインにふれて
第3回 SGLT2阻害薬の大規模研究とその課題
●SGLT2阻害薬はEMPA-REG OUTCOME、CANVAS programなどの大規模研究において経口血糖降下薬(OHA)としては初めて主要心血管疾患(MACE)、心不全入院、腎保護などのハードエンドポイントにおいての有用性が証明されてきた。これらの成果から、SGLT2阻害薬はACE阻害薬/ARBに続く第三の心・腎保護作用薬としての期待もある。特に進行性の経過をとる糖尿病腎症の治療において、病態初期からの腎保護効果にも興味がもたれる。
●最近では、DAPA-CKDやEMPEROR-reducedなどで非糖尿病性の慢性腎臓病(CKD)や心不全を対象とした患者への効能拡大が検討されている。
栗山 哲
水疱症と口腔病変(後編)
●水疱や粘膜のびらんを誘因なく生じ、皮膚の表皮細胞間結合や表皮─真皮結合に関わる分子に対する自己抗体を病変部や循環血中に検出できる疾患を自己免疫性水疱症と呼ぶ。口腔でも、難治性のびらんやアフタを生じた場合、自己免疫性水疱症の鑑別を要する。診断には病変部の生検が必須となる。粘膜病変では上皮が失われていることが多いため、病変部に接し、上皮が保たれる部分からの生検が望ましい。前編に続き、口腔病変を生じ得る自己免疫性水疱症の診断および治療について紹介する。
大日輝記
文化
疫病の文化史
第1回 人類の歩みと疫病
●「人間とは病む存在である」と言われる。釈迦は老病死苦からの解脱を説いたが、人類の歩みは太古から常に病気と共にあった。とりわけ、突如として襲来して次々に患者を増やし、しばしば大量死をもたらす「疫病」は、巨大な自然災害にも劣らぬ重大な災厄として常に恐怖の的であった。
●さまざまな時代に大流行を繰り返し、人類の歴史や文明に重大な影響を及ぼした感染症のいくつかについて考察を加えてみよう。医学の進歩により、ほぼ制圧に成功した疾患もあるが、いまだにその脅威が薄らいでいないものも少なくはない。このところの新型コロナウイルスの騒ぎもそのひとつだ。
笠原 浩
続・まなざしの力
第4回 東大寺・修二会練行衆(1)
22の瞳
渡辺 考
Q&Aシリーズ
経営・税務誌上相談 487
コロナ関連補助金等の収益計上時期
益子良一
雇用問題 231
わがままなベテラン看護師を解雇できるか
曽我 浩
会員
ドクターのつぶやき川柳 年間賞2020
〈選者〉植竹団扇
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉植竹団扇
書評
富田満夫『プライマリ・ケアにおける慢性骨盤痛 筋骨格系からのアプローチ』
濱田俊政
書評
帚木蓬生『老活の愉しみ 心と身体を100歳まで活躍させる』
仲里尚実
VOICE
─2月号を読んで─
詰碁・詰将棋
編集後記・次号のご案内