トップページ 解説 当会資料 参考リンク・資料

医療機関「顔認証付きカードリーダー」対策特集

特集トップへ戻る

解説

 2021年3月に開始予定のマイナンバーカードの保険証利用(オンライン資格確認)に向けて準備が進められています。補助事業を担う支払基金では8月より顔認証付きカードリーダーの申込、11月より補助金申請が開始される予定です。医療機関での導入・対応は任意であるとともに、マイナンバーカードでの受診はトラブルや事務負担増も懸念されます。リーダー申込・補助金申請にあたっては慎重な検討が必要です。

設置は任意です!

 厚労省、支払基金が医療機関向けの案内サイトなどで示すように、医療機関においてオンライン資格確認システムを導入する義務はありません。あくまでシステム導入は医療機関の任意です。システムを導入しなくても、医療機関に不利益や罰則はありません。

慎重に検討を

 設置の期限は2023年3月末、あわてなくても大丈夫です。
 医療機関でのマイナンバーカード取り扱いの留意点、注意事項などは、現時点で示されていません。来年3月のマイナンバーカードの保険証利用開始後の状況をみて、カードリーダーの設置を検討しても遅くありません。
 支払基金からリーダーを受け取ったり、補助を受けた後、医療機関がマイナンバーカードで受診できる体制を整備しない場合、リーダー費用相当額や補助金の返還(最大全額)を求める場合があるとしており、申し込み・申請には注意が必要です。

保険証だけで受診できます!

 導入の有無にかかわらず、引き続き患者は保険証で受診でき、医療機関における保険証の目視による資格確認も認められます。審査支払機関などからの保険証の資格切れの照会に際しては、従来同様、患者の受診月に際して保険証を確認した旨を伝えればよいとされています。

新たな窓口対応

 カードリーダーで顔認証がうまくできない場合は、カード発行時に登録した4桁の暗証番号を打ち込む、または職員によるカードの顔写真との目視での確認が必要です。
 患者さんの中には、電子機器の使用に慣れていない方もたくさんいます。職員が使用の補佐をするためにマイナンバーカードを手に取るなどの対応が求められます。番号の漏洩(どこで漏れたか不明の場合の疑いも含む)、カードの紛失等の危険が想定されます。来年5月からは、保険証番号での「オンライン資格確認」が開始されます。個人情報の詰まったマイナンバーカードを医療機関で取り扱う必要はなくなります。
 マイナンバーカードの取り扱いは避けるべきです。

高額な維持費

 オンライン資格確認システムを導入する場合、カメラ内蔵カードリーダーの本体は支払基金から無償で提供されます。リーダーに接続する専用端末(PC)、オンライン請求回線の導入・整備やレセコン・電子カルテ改修等にかかる費用(43万円程度)については、診療所に対して最大32万円まで補助されますが、フル装備の場合、10万円程度は医療機関の負担となります。カメラ内蔵カードリーダーを導入せず、オンライン請求のみ開始する場合の導入経費については補助対象外です。また、導入後のセキュリティ対策や故障対応などシステム維持に伴う費用も補助対象外となります。

管理責任

 マイナンバーカードでの受診は、医療機関内におけるカードの紛失・盗難騒ぎ、番号漏洩のトラブルのリスクが格段に高まります。機器操作に不慣れな方への職員の手助けなど職員の多忙化にも拍車をかけます。リーダー申し込み、補助金申請については慎重に検討いただくようおすすめします。