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医療改善にはほど遠い
―2018年診療報酬改定 本体プラスは成果―

全国保険医新聞2017年12月25日号より)

 

 

 2018年の診療報酬改定率は、技術料(本体)は0.55%の引き上げ、全体で1.19%の引き下げとされた(改定率はこちら)。全国保険医団体連合会の住江憲勇会長は談話を発表。マイナス改定が叫ばれる中で技術料がプラスとなったのは不十分ながらこの間の取り組みの成果としつつも、「医療改善には程遠い改定率」とした(談話全文はこちら)。保団連は引き続き本体10%以上の大幅なプラス改定と患者窓口負担の軽減を強く求めていく。

 

 2018年の診療報酬改定率は、本体が0.55%引き上げ、薬価等が1.74%(薬価1.36%、材料価格0.09%、薬価制度抜本改革で0.29%)引き下げとされた。全体では1.19%のマイナス改定となる。
 保団連は医療機関が提供する医療水準を担保できるよう、初・再診料をはじめとする医療従事者の技術の正当な評価が必要とし、本体中心に10%以上の引き上げを求めて署名や要請に取り組んできた。
 財務省等からマイナス改定実施が叫ばれてきた中で、不十分ながらも本体プラスは、この間の取り組みの成果である。

 

地域医療の立て直しできない

 しかし、0.55%の本体引き上げでは医療従事者の雇用・労働環境の抜本的改善には程遠い。
 保団連が取り組んだ診療報酬引き上げ等を求める会員署名では、「経費切り詰めはもはや限界。赤字転落寸前だ」、「診療報酬が増えなければ、職員の給与を増やせない」などの切実な声が寄せられた。11月に公表された医療経済実態調査結果でも、収益が低下する中、医師の給与の据え置き、引き下げなどによってなんとか医院経営を維持している状況が明らかになった。こうした実態をみれば、今回の改定率は疲弊した地域医療を立て直すには不十分だ。大幅なプラス改定を実施すべきである。
 今回の改定率に加えて「別枠」として、大型門前薬局の適正化で60億円引き下げる予定だ。あわせて医療用保湿剤の保険外しなどが行われれば、実質の引き下げ幅はさらに拡大する。

 

薬価引き下げ分 充当せず

 今回の薬価引き下げ分は1.36%で、前回の引き下げ幅(1.22%)より0.14ポイント大きい。にもかかわらず、本体改定率は前回比で0.06ポイントの上乗せにとどまる。薬価引き下げ分の大半は、本体に充当されない形となった。本来は、医療機関の交渉努力等で引き下げられた薬価財源は、技術料の引き上げに使われるべきである。

 

介護報酬改定率も不十分

 診療報酬改定と同時に行われる介護報酬の改定率は、0.54%の引き上げとなった。介護報酬は制度発足当時から低く抑えられた上、マイナス改定が多く行われてきた。「介護労働安定センター」による事業所対象の調査では、介護サービスの従事者不足との回答が6割以上、介護サービスを運営する上での問題点として「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」が約半数となっている。今回の改定率では、介護分野の労働者の待遇を改善するためには、まったく不十分だ。保団連の住江会長は「介護報酬の大幅引き上げをあらためて求める」との談話を発表している

診療報酬改定率

 

全体 ▲1.19%

 

本体 +0.55%
(医科+0.63%、歯科+0.69%、調剤+0.19%)
薬価 ▲1.65%
※うち薬価制度の抜本改革▲0.29%
材料価格 ▲0.09%
※上記のほか、いわゆる大型門前薬局に対する評価の適正化の措置を講ずる

介護報酬改定率 +0.54%

 

障害福祉サービス等改定率 +0.47%

以上