【支払基金改革を考えるA】医師の裁量否定しかねない
医療機関に診療報酬を支払う支払基金の「改革」に向けた議論が進んでいる。全国社会保険診療報酬支払基金労働組合(全基労)中央執行委員長の平岡信彦氏に医療への影響などを連載で解説してもらう。(6回連載。第1回「国民の医療保障に関わる」)。
前回、支払基金「改革」の2つの「計画書」が出された背景に規制改革会議での議論と日本再興戦略に示された医療・保険分野での市場拡大方針があることを指摘しました。この中で支払基金「改革」について直接触れたのが、規制改革会議での議論でした。
ICTを使った審査と支払基金の合理化 規制改革会議の支払基金「批判」は、大きく分けると、@ICTを使った審査の拡大と支払基金の合理化を求める意見、A支払基金の事務費を査定の対価とすべきとする意見、の2つでした。
コンピュータチェック9割の審査に 規制改革会議の「コンピュータ機能を使った審査をもっと行うべき」とする意見に応じ、支払基金は「効率化計画」で、審査におけるICTの活用の根本見直しを掲げました。「これまでのコンピュータチェックは、あくまで審査委員の審査の前捌きとして行われてきたが、この考え方を180度転換する」との考えを示し、2022年度までにコンピュータチェックで9割、支払基金が雇用する医師・看護師等の医療専門職等を中心とした職員による対応で1割、残る重点審査分に限って審査委員の医学的知見を基に対応することを目指す目標を据えました。
簡単には進まない コンピュータチェックルールを拡大してコンピュータチェックのみで完結するレセプトを増やすことは、医師の裁量権を否定し、保険で十分な医療を提供できないことにつながりかねない重大な問題です。 以上 |