審査支払機関改革などは撤回を
|
医療保険関連法案の概要 | |||||||
|
|||||||
※1月17日社会保障審議会医療保険部会資料より作成 |
患者の受診時などに保険証の資格の有無をリアルタイムで確認できるオンライン資格確認を、マイナンバーカードでできるようにする。消費税10%に伴う増収分を用いて「医療情報化支援基金」を創設し、医療機関でのシステム導入経費を補助する。
医療機関にマイナンバーカードが持ち込まれることで、院内でのカード紛失や番号漏洩が生じる危険がある。医療機関がどのように対応するかが問題だが、厚労省は「対応策を整理して周知する」と述べるにとどまっている。
保険証でもオンライン資格確認が可能となるのにマイナンバーカードによる資格確認をあえて盛り込むのは、情報漏洩や番号の悪用のリスクなど問題の多いマイナンバーカードの普及に、医療を利用するものだ。
審査支払機関の「機能の強化」を目的に、業務と機構を再編する。
審査支払機関の業務に、レセプトや特定健診の情報収集やデータ分析等を追加する。審査に基づく迅速・適正な支払いを通じて国民皆保険を支える審査支払機関の役割を、医療費抑制を主眼としたビッグデータ活用の推進役に変貌させることとなる。
また、ICTを活用して業務運営を「効率化」する。計画ではレセプトの9割をコンピューター審査で完結させることを目指している。現在47都道府県に置かれている支部を再編し、職員によるレセプト事務点検の業務は、当面全国10カ所程度の審査事務センターに集約する。患者の個別性や地域の特性が考慮されない機械的審査の拡大が懸念される。
支払基金の財政基盤である保険者からの審査手数料は、現行のレセプト枚数の基準に加えて、審査内容も勘案して設定する。医療費増加を避けたい保険者の意向に応じて、査定が強められる恐れがある。
その他、国が保有する医療と介護のレセプトを連結し、民間事業者への情報提供を解禁する。情報漏洩リスクの増大などが懸念される。
また、高齢者に対する保健事業と介護予防事業を、市町村が一体的に実施することとする。必要な専門職確保の財源は後期高齢者の医療保険料などで賄うとされており、負担増となる。
さらに、健康保険が適用される被扶養者を、日本に住所を持つ者に限定する。保険料が同じでも給付に差がつき、外国人差別との声もある。
保団連の住江憲勇会長は4月11日に発表した談話で、法案の徹底した審議、マイナンバーカードによるオンライン資格確認と審査支払機関改革法案の撤回を求めた。参院での審議に向けて、引き続き要請を強めていく。
以上