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診療報酬―保団連の視点

特定疾患療養管理料、か強診、入院基本料

全国保険医新聞2019年11月15日号より)

 

 2020年診療報酬改定に向けた保団連要求を紹介する。保団連は今年6月に要求をまとめ、8月8日には厚労省要請を実施するなど、取り組みを進めている。

医科―特定疾患療養管理料の対象疾患拡大を

 日本における疾病構造が、感染症中心から生活習慣病等の慢性疾患中心へと変化してきている中で、疾病の重症化を未然に防ぐ観点から、特定疾患療養管理料の対象疾患については、内科関連だけでなくその他の診療科における疾患をさらに対象に追加し、評価することが必要だ。
 例えば婦人科系疾患においても医師による計画的な療養上の管理及び指導が重要であり、特定疾患療養管理料の対象疾患に加えて指導管理の評価をすべきだ。
 また、関連学会からの要望に基づき、療養管理の必要な疾患については毎回の改定で対象拡大の検討を行い、加えていくことが重要だ。
 保団連は「治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の 療養上の指導を要するすべての疾患(婦人科の慢性疾患、整形外科、泌尿器科や眼科等含む)に対象を拡大すること」を要求している。

歯科―か強診の算定要件改善を

 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)は、2016年改定で新設され、前回改定では経過措置が設けられつつも施設基準要件が厳しくされた。次回改定に向けて中医協では「機能の明確化」などを論点に議論が続いている。
 保団連は▽か強診の施設基準要件を地域での医科歯科連携や多職種連携への関与、居宅への訪問診療に重点をおいた施設基準に見直すこと▽初期う蝕治療や歯周病安定期治療(SPT)の評価をか強診と切り離して、各項目内で再整理することなどを求めている。
 施設基準で初期う蝕などの点数項目を区別する必要はなく、継続管理や重症化予防に係る診療は多くの歯科医療機関が関与できるようにする必要がある。例えば、「初期う蝕治療では、フッ化物歯面塗布処置(F局)の『エナメル質初期う蝕に罹患している患者の場合』に一本化した上で、外来または訪問診療における根面う蝕の患者に対する管理にも適応を拡大し、月1回の算定とする」ことを要望している。

入院―入院基本料は引き上げを

 2018年入院診療報酬の改定では、一般病棟7対1の削減と看護必要度の要件強化が行われた。
 25対1療養病棟では、廃止に向けた経過措置など病床削減策がさらに促進された。区分見直しか25対1の病床を存続しなければ在宅での本人及び家庭の精神的負担は社会問題になりかねない。有床診療所はもはやグループホームの報酬より低く、減少に歯止めがかからない。
 入院基本料は、入院医療に係る費用を保障している。入院医療の安全を確保するには、十分な人員の確保と管理体制の強化が必要である。医師や医療従事者の働き方改善には診療報酬の引き上げは不可欠だ。
 現在のような低い入院基本料をさらに減額し続ければ、防災や警備も含めた医療の安全確保は図れない。
 保団連は、急性期か療養か有床診かを問わず、いつでも余裕のある病床数で地域住民を受け入れ可能な経営確保のため、入院基本料の引き上げを強く求めていく。

以上