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在宅患者訪問診療料、歯科の麻酔、有床診の役割発揮 |
(全国保険医新聞2019年11月25日号より)
2020年診療報酬改定に向けた保団連要求を紹介する。保団連は今年6月に要求をまとめ、8月8日には厚労省要請を実施するなど、取り組みを進めている。
2018年改定で、在宅患者訪問診療料(T)の「2」が新設された。在医総管等の要件を満たす医療機関から依頼され、当該患者の同意を得て、計画的な訪問診療を行った場合、訪問診療を開始した日の属する月から起算して6月を限度とし、月1回まで算定が可能である。また、別に厚生労働大臣が定める神経難病等の患者については6月を超えて算定できる。
ところが実態として、複数医療機関からの訪問診療が必要となる場合は、当該患者の疾患やその時々の状態によって、集中的な診療が必要となるケースが想定される。
保団連は、患者の病態に応じて医療機関が柔軟に対応できるように、「訪問診療を開始した日の属する月から起算して6月(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者に対する場合を除く)を限度」、「月1回まで」とする算定制限を撤廃するよう要求している。
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2018年改定では、麻酔薬剤等に係る40円ルールの改善がはかられた。20年改定に向けて、麻酔関連の改善要求を保団連として引き続き行なっている。
歯科では、「浸潤麻酔30点」などと手技料があっても、処置、歯冠修復及び欠損補綴の項目で、「麻酔は含まれる」として実際に麻酔を行なっても保険請求できない項目が数多く存在する。例えば、「スケーリング68点」、「う蝕歯即時充填形成126点」などの項目では麻酔が算定できない。
処置などそれ自体の手技料の評価の改善もあるが、さらに麻酔が包括され、あまりにも低い評価となっている。このことから、麻酔手技料を算定できるようにすることなど、何らかの手立てで適正に麻酔を行なった場合の評価を行なうよう要請している。
入院―有床診の役割発揮のため入院基本料の引き上げを |
有床診療所は患者にとって便利な存在だが、長らく続く低い入院料で経営困難のために閉院が止まらず、2019年7月末時点で6,681件と激減している。1997年7月には2万件あったので、22年間で1万3,300件も閉院している。
保団連では、これまで、患者にとって身近な有床診療所の存続のために診療報酬の引き上げを要求し続けている。
2018年改定では、主に地域医療を担う有床診療所を「地域包括ケアモデル」、主に専門医療を担う有床診を「専門医療提供モデル」と位置付けた。そのうち、「地域包括ケアモデル」については、介護サービスを提供する有床診療所入院基本料1〜3に対して、介護連携加算を新設し、要介護者の受け入れ時に加算できるようにした。有床診療所にも地域包括ケア病棟入院料と同じくサブアキュート機能を求めた。加算の新設、引き上げ、算定要件緩和はされたが、低すぎる入院基本料本体を大幅に引き上げるべきだ。
以上