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75歳以上窓口負担、政府が2割化提案
介護の改悪阻止も喫緊の課題

全国保険医新聞2020年1月25日号より)

 

現場の声が歯止めに

 政府は社会保障の給付削減を狙い、医療・介護での負担増を打ち出している。特に介護では、施設利用者負担増などの具体化が進められており、早ければ年内の実施も狙われている。一方で、医療・介護の現場の声は、政府の進める負担増の一定の歯止めにもなってきた。全国保険医団体連合会(保団連)は、医療者や患者・利用者の声でこれらの負担増を阻止するため、新たな請願署名に取り組む。(関連記事:社会保障審議会・介護保険部会が意見取りまとめ

 

署名にご協力ください

 保団連は、患者・利用者負担増の中止を求める請願署名の取り組みを呼び掛けます。請願項目は▽75歳以上の窓口負担を2割へ上げない▽薬の保険外しをしない▽介護の利用料負担を増やさない―などです。
 お問い合わせは協会・医会、保団連まで。

 75歳以上の窓口負担への2割負担導入や紹介状なしの大病院の受診時定額負担の大幅な拡大などは、昨年12月19日に取りまとめられた政府の全世代型社会保障検討会議の「中間報告」に盛り込まれた。同会議が発足した昨年9月当初、安倍首相は、団塊世代が75歳を迎える2022年までに医療、介護、年金など社会保障全般の負担増の検討に意欲を示していた。今夏に控える同会議の「最終報告」や「骨太方針2020」の策定に向けて予断を許さない状況だ。
 特に介護では、施設に入所する低所得への食費・居住費の補助(補足給付)の削減、介護サービス利用者の負担上限の引き上げなどが社会保障審議会が12月にとりまとめた「意見」に盛り込まれ、具体化が進んでいる。

 

薬の保険外しは見送り

 医療者や患者・利用者の声は、政府の医療、介護の負担増の歯止めにもなっている。
 財務省が繰り返し求めてきた75歳以上の窓口負担「原則2割化」について、保険医協会・医会をはじめ医療団体の反対の声や与党内からも慎重対応を求める意見があり、中間報告では一定所得以上での導入という記載に留まった。薬の保険外しや現役並み所得者の所得基準の引き下げなども、医療者を中心に反対・懸念の声が大きく記載されなかった。
 介護についても、財務省は利用料の原則2割負担化、ケアプラン有料化、要支援1、2の軽度者サービスの保険外しなどを強く求めていたが、利用者や家族らの強い反対を受けて、中間報告には記載されず、予定されていた今国会での具体化も見送られた。
 保団連は介護の負担増中止を喫緊の課題としながら、医療も含めた社会保障の給付削減・負担増に反対する請願署名の取り組みを呼び掛けている。

以上