21年度薬価改定は中止を
医療機関の経営悪化は避けるべき
(全国保険医新聞2020年12月25日号)
菅政権は、21年4月に薬価改定を実施する方針を示した。保団連は、12月11日に声明を発出し、コロナ禍で正常な取引価格の調査が困難となったことなどから、薬価改定は中止すべきとした。また、薬価改定が実施された場合でも、引き下げに伴う財源は逼迫する医療体制の確保・維持に充てるべきと強く求めた。
2年に1度の薬価改定の合間の年に、一定の品目について薬価を改定する。菅政権は、この中間年改定を2021年4月より開始し、医療費を4300億円超引き下げる方針と報道されている。国費で1000億円程度の削減となる。金額規模では通常の全品改定の9割近くとなる。
保団連は、医療機関の経営悪化は避けるべきとして、21年度薬価改定の中止を求める声明を発表した。
中医協で異論続出
中医協では、薬価調査結果では薬価と市場価格の平均差は例年並みと報告されたが、20年度薬価改定以降、契約交渉の期間が半年と例年よりも大幅に短い上、新型コロナウイルス感染拡大の下で交渉機会がさらに限られる中、正常な取引がされたとは言い難いとの声が相次いでいる。
声明では、通常医療にも支障が出始め、医療崩壊の再燃すら危ぶまれる地域も出ている中、薬価改定となれば「医療機関、薬局の経営状況をさらに悪化させ、地域医療にさらなるダメージを及ぼすことは明らか」と指摘した。その上で、可及的速やかになされるべきは、医療機関への経営支援策や感染拡大防止支援策の充実をはじめ、医療提供体制の再建・整備にこそある」と指摘。患者・国民負担の軽減に向けて薬価の引下げは必要だが、21年度の薬価改定は中止すべきと求めた。薬価を改定するた場合でも、改定で生まれた財源は初診料・再診料、訪問診療料、入院料等を緊急に引き上げるなど、医療提供体制の維持・確保のために充てるよう強く求めた。
以上