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財務省が医療機関支援策示す
狙いはコロナ対策費の削減

全国保険医新聞2021年5月5・15日号

 

地域別診療報酬の意向も

 財務省は4月15日、財政制度等審議会・財政制度分科会で、今後の新型コロナウイルス感染症に係る医療機関への支援策のあり方についての考えを示した。コロナ入院患者を受け入れる病院に対して、緊急包括支援交付金等に代えて、コロナ以前などの診療報酬水準を支払う手法を検討すべきとしている。保団連は同月28日に声明を発表し、財務省の狙いはコロナ対策費の削減にあると指摘し、すべての医療機関に対するきめ細かな支援策を実施するよう求めた(4/28【声明】財務省が示す新型コロナに係る医療機関の支援策について)。

 

保険財政ではなく国費で

 声明では、コロナ入院患者を受け入れる病院に対しコロナ前などと同水準の診療報酬を支払う簡便な手法を検討すべきとしている点について、事実上「減収補填」を認めたことは重要とした。そのうえで、財務省の提案は、限られた医療機関への減収補填などを口実に緊急包括支援交付金(国費)などを大幅縮小・廃止し、コロナ感染拡大に対する医療機関への財政支援を大幅に削減することに狙いがあると言わざるを得ないと指摘した。
 財務省の案では、減収補填にあたって「知事の同意」などが課される上、1点単価を補正して支払う手法が挙げられている。合わせて、財務省の資料では、「1点単価に地域差を設ける対応」などを含め「診療報酬制度における地域差の反映方法について幅広く検討すべき」としている。
 声明では、1点単価を補正した減収補填の対応を奇貨として、財務省の宿願である都道府県別診療報酬の議論・活用につなげていく意向が垣間見えると批判。減収補填は保険財政ではなく国費で、単価を補正せず減収額を直接補填する方法で行うべきとした。
 さらに減収補填の対象も、都道府県ごとではなく全国の全ての医療機関を対象に、昨年のコロナ到来後に生じてきた過去分も含めて補填することが必要とした。

 

全ての医療機関にきめ細かな支援を

 また、財務省は、「コロナに対応しない」医療機関に講じてきた支援策については、「目的及び効果に遡った見直しが必要」として、縮小・廃止を示唆している。
 しかし、地域医療ではコロナ対応医療と一般医療の両方が必要であり、コロナ収束に向けて、コロナ入院患者受け入れ以外の医療機関に対する支援は不可欠だ。声明では、減収額の直接補填、交付金、診療報酬の特例措置など、医療機関全体に対するきめ細かな支援策を実施、継続・強化するよう強く求めている。

以上

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