「受診できない」子ども増加 コロナ禍 心身に影響
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調査は今年2月から3月にかけて全国の31都道府県の公立・私立の小中学校、高校、特別支援学校の養護教員を対象に、昨年の学校健診の結果などについて聞いた。4,923校から回答があった(回収率20.7%)。調査は2018年度に続き2回目。新型コロナ感染拡大の影響のなかった前回の調査に比べて、要受診とされた子どもたちの未受診率は、歯科、眼科、耳鼻科、内科の全科で増加した(表)。
新型コロナウイルスによる影響については、40.3%の学校が「あった」と回答。影響事例は、「肥満児童・生徒の増加」、「視力低下」、「保健室登校の増加」「虫歯のある児童・生徒の増加」などが多数だ(グラフ)。
児童・生徒の体重増加の報告が圧倒的に多いものの、一方で中高校生は摂食障害などで体重減少が起こっていることも報告された。
視力低下については、休校中にゲームやスマートフォンの利用などに長時間を費やす生活が続いたことが要因ではないかとの声が寄せられている。昼夜逆転など生活リズムの乱れが起こっているとの指摘もある。
さらに不登校、授業に欠席ぎみ、登校をしぶる児童・生徒が多くいるとの声が養護教員から寄せられている。休校中の運動不足などに起因すると考えられる骨折などの怪我や、心身の体調不良の増加も指摘された。
歯科では、全体的に口腔内の状況が悪化し、虫歯だけでなく歯垢の付着や歯肉炎が増加している。「コロナ感染が不安」との理由での受診控えも多く発生していたとの報告が寄せられた。
未受診の背景には「健康状態に対する親の理解不足」「共働き」「経済的困難」「ひとり親家庭」「無関心」など、家庭の問題があることは、前回の調査でも明らかになっていた。状況が改善されない中、今回、コロナ禍による「受診控え」が加わり、子どもの健康状況が悪化している。
子どもの健全な成長・発達を保障する上で必要な受診を促すことを目的として、国・自治体・学校・医療関係者・地域が連携した積極的な対応が求められる。
以上