過去に例のない減収 国の責任で補填必要
|
保団連は4月末から5月中旬にかけて、コロナ感染症拡大の影響に関する緊急アンケートを実施。全国31の協会・医会を通じて、1万742件(医科7,116件、歯科3,626件)の協力を得た。
昨年4月と今年4月を比較し、外来患者が「減った」との回答が、医科・歯科ともに9割近くに及んだ。保険診療収入も医科で85.3%、歯科で85.4%が「減った」と回答。このうち、3割以上減少したとの回答は、医科で25.8%、歯科で31.8%となった。過去に例のない規模での減収だ。
希望する支援策では、医科歯科ともに、「損失の補償(給付金)」「人件費の補助」の順に要望が強い(図)。
支払基金は7月1日、4月分の診療報酬の確定件数と確定金額を公表した。
4月分の確定件数は、対前年4月比で77.1%(医科75.8%、歯科77.7%)。確定金額は89.8%(医科88.3%・歯科87.3%)だった。医科・入院外でみると、確定金額は84.0%となった。
減少幅には地域差があり、特に新型コロナ感染者数の多い都道府県で減少幅が大きい。東京では医科の確定件数は前年4月比で66.4%、確定金額は80.0%。歯科ではそれぞれ64.9%、74.2%となった。
この間協会・医会も独自に同様のアンケートを実施。結果はマスコミも関心をもって取り上げた。通常国会終盤に成立した2次補正予算では、一般医療機関向けにも医療従事者等への慰労金支給や、感染拡大防止費用の支援などが盛り込まれたが、費用増や患者減による医療機関の減収への措置は盛り込まれなかった。
今後の再度の感染拡大に対応するため、医療機関の苦境を立て直すことが、患者・国民の生存権を保障する上でも、早急に求められる。
医療機関は国民皆保険制度の下、非営利で、公共的、公益的な役割を発揮している。個々の医療機関の「自己責任」を強いるのではなく、すべての医療機関に対して診療報酬の概算払いや減収分に対する支援金などの公的措置が必要だ。
以上