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【歯科技工所アンケートを読む】第3回 後継者、離職率

全国保険医新聞2017年12月25日号より)

 

 

 保団連は昨年、歯科技工所アンケートを実施した。その結果を6回連載で紹介する。アンケート結果は「2016年歯科技工所アンケート調査結果と概要報告」を参照されたい。

11月5日号「第1回 長時間労働」11月25日号「第2回 売り上げ、収入の低さ」

 

後継者「いない」70%

アンケート結果_後継者の有無

 歯科技工士が今後患者・国民の要望に応えていけるのだろうか。アンケートでの後継者の有無に対する回答は「いる」18.9%、「いない」70.6%であった(右図)。また仕事のやりがいを感じているとの回答が41.6%であった。これは自由意見でも多く語られており、労働時間、収入が劣悪であるにもかかわらず仕事のやりがいに支えられている部分も大きいと感じさせられる。
しかし技工の仕事から人が離れていく状況がある。大阪歯科大学の末瀬一彦氏は2014年の論文で歯科技工士学校の総定員,受験者数、入学者数について「2000年以降減少傾向にあり、2014年には総定員数1,860名に対して入学者数は1,262名でその充足率は68%である。2年制の専門学校のほとんどは定員割れの状況である」と指摘している。

 

離職率7割

 歯科技工士の各年の免許交付数と技工士数の比較で離職率が推計できる。12年から16年までの各年度の歯科技工士免許交付数累計が5,884人であり16年調査では25歳未満の就業技工士数が1,862人であることから、全ての入学者が18歳と仮定すれば、5年以内の離職率は68.4%となる。近年の動向は5年でほぼ7割前後の歯科技工士が技工の仕事を辞めていることを示している。
11年の厚生労働科学研究「歯科医療関連職種と歯科医療機関の業務のあり方及び需給予測に関する研究」によれば「各世代の経験を積んだ歯科技工士の離職の低減を図り、再就職の支援を行うとともに、今後も若い歯科技工士の養成が必要である」としている。


自由意見欄より

今の料金形態では、誰もやりたがらないでしょう。今後どんどん減っていきますね(39歳)

技工士は、もう誰にも勧めたくない(56歳)

あと10年したら技工所は半分になるでしょう。とくに保険をやる人はいなくなると思います(52歳)

歯科技工という仕事を人に勧めることができない。 自分の子に後を継いでくれと言えない(55歳)

自分の同期の技工士もほとんどがやめてしまった(31歳)

以上