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【歯科技工所アンケートを読む】第5回 制度に対する要望

全国保険医新聞2018年2月25日号より)

 

 

 保団連は昨年、歯科技工所アンケートを実施した。その結果を6回連載で紹介する。アンケート結果は「2016年歯科技工所アンケート調査結果と概要報告」を参照されたい。

11月5日号「第1回 長時間労働」11月25日号「第2回 売り上げ、収入の低さ」12月25日号「第3回 後継者、離職率」1月25日号「第4回 「7対3」大臣告示」

 

 「7対3」大臣告示と言われるものが拘束力、罰則を持たないものである限り、何ら実効性を果たしていないといえる。その改善を多くの歯科技工士は望んできている。

 

技工料にルール求める声

技工料保障のためにどのような方策が有効だと思うか

 に示したとおり、この問題の解決にあたってどのような方策が有効かとの設問では、2、3、4が約7割近く占めている。価格保証、再徹底、直接請求のいずれもが、恣意的な委託技工料金をなくしてほしいとのあらわれである。いかなる方法を取るにしても解決にはそれに見合う財源を勝ち取っていくしか他に道はない。
 また、歯科医師に対する不信を長年募らせていることは推測に余りあるにしても、4割近い歯科技工士が診療報酬の引き上げも必要であると考えている。現在の実質自由取引価格となっている委託技工料が歯科医院から見れば低診療報酬に対する緩衝材、逃げ場になっていることを考えると、今後この問題で歯科技工士と歯科医師が手を組んで改善を求めていく道筋が可能であることも示唆していると思いたい。なぜなら直近の医療経済実態調査では1カ月の収支差が約52万円以下の診療所が約4割を占めているからである。
 そもそも製作技工料の算出は市場、言い換えれば相対取引に任せるのではなく、時間、経験等による積算に基づくものでない限り実態に即さないことは、外保連(外科系学会社会保険委員会連合)等の指標が近年診療報酬に一定反映されていることを見ても明らかである。
 下記の自由意見は分からなくはないが、患者・国民の立場からすると保険診療は絶対守らなければならない。


自由意見欄より

概ね7対3が無理なようでしたら直接保険請求を希望します。(74歳)

しわ寄せはいつも技工士にくる。「他はもっと安い」と言われ値下げを拒むと「他へ出すからいい」と言われる。(47歳)

義歯の製作に手間がかかるわりに料金が安すぎる。義歯を断りたいと思っている。(61歳)

補綴は保険診療から外して全て自由診療にしてほしい。(68歳)

技工料金を安く希望する歯科医があまりに多いのは、歯科の診療報酬そのものが低いためなのかもしれません。(52歳)

以上