2024年10月31日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部
部長 森岡 芳雄
10月29日、東北電力が女川原子力発電所2号機を起動し、再稼働した。
福島原発事故の核心部分は、解明されておらず、女川原発2号機は、東日本大震災で重大事故を起こした東京電力・福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉の原子炉であり、震災により地盤沈下と建屋に幾多の損傷を認めた被災原発であり、最も危険な原子炉と言われている。新規制基準以外に被災を前提とした審査が行われたとはいいがたい。もし、災害がおきた場合、福島原発と同様に重大事故を起こしかねない。また、東北大震災時に避難できない孤立集落が発生した事実もある。今回の13年7カ月ぶりの再稼働に際し、職員の4割近くは原発運転未経験者である。
東北電力は、総額約5,700億円を投じ安全対策工事を実施した。最大23.1mの津波を想定した防潮堤(海抜29m、総延長800m)の他、放射性物質の漏洩を抑えながら原子炉格納容器内の圧力を下げるフィルター付きベント(排気)装置などを整備しているが、大地震の際に、既存の対策でしかなく、安全確保の機能が働くのかも疑問視されている。政府の使命は、東電・福島原発第一事故の教訓に学び、すべての原発の廃炉を決定し、福島原発にかかわる放射能汚染物質の適切な処理を再検討し、既存の核燃料廃棄物や原発そのものの処理を適切に行い、これ以上の原発災害による被害の拡大を防ぎ、被害者・避難者の存在を矮小化することなく、救済、賠償、将来にわたる生業と生活を保障することである。
我々はいのちと健康を守る医師・歯科医師の団体として、女川原発2号機の再稼働に強く抗議し、政府、東北電力に即時中止を求めるものである。
以上