2025年2月19日
全国保険医団体連合会
非核・平和部長
矢野正明
2月18日、岩屋毅外相は、来月3日から開催される核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議に日本政府がオブザーバーとしても参加しないことを表明した。これは、被爆者をはじめ核兵器廃絶を願う世界の人々を失望させるものである。私たち全国保険医団体連合会は、今回の不参加表明に強く抗議する。
昨年10月、日本被団協がノーベル平和賞を受賞した際、石破茂首相は、TPNW 第3回締約国会議については、オブザーバー参加を真剣に検討すると表明した。また、ドイツやオーストラリアなど「核の傘」の下にある国々のオブザーバー参加の状況について、検証を行い、日本が締約国会議にオブザーバー参加することに関して参考にするとしていた。しかし、どのような「検証」が行われたのか、その内容も充分に説明されないまま、今回も不参加を表明することとなった。
国内では、国民の約6~7割と国会議員の過半数が日本のオブザーバー参加を支持している。それに加え、日本被団協のノーベル平和賞受賞によって、この問題に対する世論とメディアの関心はきわめて高まっている。連立与党である公明党もオブザーバー参加を強く主張している。
オブザーバー参加国のうち独豪両国は、米国の同盟国として条約に参加することはできないとしつつも、「核兵器国によるTPNW への支持の達成に向けた知見の提供」(豪州)や「被害者援助・環境修復への関与」(独)など、現実的かつ実践的な機会の模索を行っている。これらのことからも、日本がオブザーバー参加できない理由は見当たらない。
岩屋外相は、第3回締約国会議に当たって、日本被団協をはじめさまざまな団体・個人や与野党から、オブザーバー参加をするべきとの要請を多く受けたことを明らかにした。広島・長崎への原爆投下から80年となる本年、唯一の戦争被爆国である日本が、核兵器禁止条約について何らの行動も示さないことは、核兵器廃絶を願う全世界の人々を失望させるものだ。
これまで、私たち全国保険医団体連合会は、日本が早期に核兵器禁止条約に署名・批准することを求めてきた。少なくとも、日本政府は、TPNW 締約国会議にオブザーバー参加すべきであり、2週間後の会議開催までに不参加表明を撤回することを求める。
以上