2022年度の診療報酬改定で導入されたリフィル処方箋は、1枚で医師の診察なく繰り返し薬局で薬をもらうことができる。投与制限がある薬(睡眠薬、向精神薬、薬価収載1年以内の新薬など)と湿布薬以外であれば、医師の定めた一定の期間、回数内で処方が可能となり、生活習慣病治療薬が対象と想定される。
大阪協会の緊急会員調査では、回答者の9割がリフィル処方導入に反対している。その理由は「健康状態の観察等が困難」「減収につながる」「薬剤師に疾病管理させるのはおかしい」などである。
財務省や経済界では、リフィル処方によって患者の受診頻度を減らせば、医療費を抑えることができるとして、10年から導入を求める声があった。厚労省も、リフィル処方導入により、診療報酬の本体改定率を0・1%押し下げると説明している。
経済財政諮問会議の民間議員は4月13日の会議で、リフィル処方について「一気に普及・定着を図るべき」と提言した。具体的には国保の保険者努力支援制度や後期高齢者支援金の加減算の活用を例に挙げており、特定健診・保健指導と同様に、リフィル処方率を高めた保険者には支援金等の負担を減算するなど、「アメとムチ」活用の意図がうかがえる。また「患者ごとではなく、医療機関としてリフィル処方箋を出さない」方針を決めることは「療養担当規則に反することにもなりかねない」と脅しのような発言も見られる。しかし、診察せずに薬を出す行為の方が療養担当規則の趣旨、理念に背くのではないか。
薬だけ欲しいという患者は結構いるが、そういう人ほど服薬が不規則だったり、油断して生活習慣が乱れたりしがちである。
また高齢者は、状態変化や副作用などに関する自覚症状が出にくい場合もあり、定期的な観察は欠かせない。「お変わりないですね」と確認する機会こそが重要である。安定している患者に漫然と同じ処方をしているのではなく、「安定している」ことを確認して初めて同じ処方をするのである。患者の疾患管理に支障をきたしかねないリフィル処方は、断固中止すべきである。