2年に一度の診療報酬改定で、歯科の改定率には、毎回期待外れである。
2022年度においては、会員からの診療報酬改定についての相談が、例年に比べて非常に少ない。あきらめムードなのか。なぜ歯科の医療費は少ないのか?
人生100年、健康寿命の延伸には、口腔機能の維持向上が不可欠といわれ、政府は6年連続で骨太の方針で歯科の記述を書き込み「歯科重視」をアピールしてきた。しかし政府は低歯科医療費政策を続けている。歯科診療報酬において、長年にわたり技術評価(特に、歯冠修復や欠損補綴)が低いことが大きな原因の一つである。
歯科診療所は、歯科医師の他に、専門職である歯科衛生士・歯科技工士を雇用した上で、本来は成り立つものである。しかし、現実は、歯科医師と助手で診療している歯科診療所も多い。
経営の悪化や、歯科衛生士や歯科技工士不足等で雇用できないのである。
歯冠修復や欠損補綴に関わる技術料があまりも低すぎることは、歯科技工所の経営に大いに影響する要因である。歯科技工士のかかえる問題は、歯科医療費の総枠拡大なくして解決しない。
現在、自由診療の中で十分普及し、安全性の確保されている技術や材料等は、保険に導入していく運動も必要な時期に来ている。低い報酬で、保険導入されることには、反対の声もあると思う。
しかし、国民・患者も参加する「保険でより良い歯科医療を」全国連絡会では、先のような歯科治療を保険導入することを望んでいる。この連絡会を通じて、国会議員、行政機関、他団体、国民等に、歯科診療所が不採算とならない報酬で保険導入する運動を提起していく。
さらに、全国の協会・医会で立ち上げることが運動の拡大につながる。
真剣に、歯科医療費総枠拡大を目指すなら、まず我々歯科医師が一致団結し、社会的評価、国民の信頼を勝ち取ることである。
例えば、経営安定のために、自費診療を拡大することは、国民・患者の望むことではない。「歯医者は高い」ということで歯科診療所から遠ざかり、受診抑制を招くことになる。
自費に頼らない安定した経営を目指すには、保険による歯科医療費総枠拡大が必要である。同時に、窓口負担軽減を求めていく運動も提起していく。
それが国民皆保険の意義でもある。