長崎協会が制作を応援してきた映画「長崎の郵便配達」が8月5日から全国上映される。被爆者支援に取り組んできた長崎協会の松﨑忠樹理事に、協会との関わりを紹介してもらった。
2010年NPT再検討会議に向けてニューヨークの国連本部で演説し「ノーモア広島、ノーモア長崎、ノーモア被爆者」と語りかけた谷口稜曄(すみてる)さん。あの赤く焼けただれた背中の少年である。その稜曄さんの核廃絶への思いの強さに接したときに長崎人のだれもが感嘆し、またそのひたむきな実直さに畏敬の念を抱いたのではないか。この度、稜曄さんに魅せられた人々の物語が映画「長崎の郵便配達」となって8月5日から全国上映となった。監督の川瀬美香さんがこの映画をハッピーなドキュメンタリーと表現された通り、この映画を観た人は自身の愛と平和を深くかみしめながらエンドロールを迎えることになる。
長崎協会は長崎原爆被爆70年の夏に全国の医師・歯科医師を集めた学習会を長崎で企画した。その縁で稜曄さんと直接対話し、そして稜曄さん自身が強く望んだ「ナガサキの郵便配達」の日本語訳の復刊に協力することとなり、映画化にも携わった。長崎ロケは4年前の夏、コロナ禍もあって上映が決まるまでが長かった。稜曄さんは復刊を待たずに2017年夏に亡くなられたが、きっと天国でこの映画の封切りを喜んでくれているものと思う。原作「THE POS
TMAN OF NAGAS
AKI」の著者Peter To
wnsendと稜曄さんは強い友情で結ばれていたことが映画を観れば自然と判る。そして娘で主演のIsabelle Townse
ndとその家族はフランスの子供たちに、映画に携わった長崎の高校生たちは地元で平和を伝える活動を始めている。映画の余韻は平和の輪を拡げ続けている。ぜひ、周りの人を一人でも多く誘って観に行ってほしい。
(長崎協会 松﨑忠樹)