現場の改善に全力
新型コロナウイルス感染拡大の「第7波」では新規感染者数や死亡者数が過去最高を更新し、発熱外来の逼迫や医療従事者の感染増加などで医療提供も困難となっている。全国保険医団体連合会(保団連)はコロナ禍以降、医療現場の改善を国に繰り返し要望してきた。最近では、ワクチン接種の対象拡大や診療報酬外来特例の延長などが実現した。会員医療機関への実態調査を基に、マスコミに正しい情報発信も求めている。(3面に関連記事)
新規感染者数が連日20万人を超える中、協会は逼迫する発熱外来の現状を調査し、マスコミに発信してきた。
大阪協会は8月5日、7月末に実施した医療機関への緊急アンケート結果について記者会見し、発熱患者の診療・検査をしている医療機関のうち、7割が「受け入れのキャパシティを超えている」と回答したと明らかにした。さらに、「医科診療所の約6割が診療・検査医療機関として発熱外来に取り組んでいる」と多くの医療機関がコロナ対応に奮闘している現状も報告した。
愛知協会は8月9日に、7月下旬から8月にかけて実施した発熱外来に関する医科開業医会員アンケートの結果をマスコミに送付した。「スタッフ感染で体制確保が困難」、「HER―SYS入力業務で連日残業」など医療現場の疲弊や混乱の現状を伝えた(3面に結果の詳細)。
これらの調査結果は、地元紙や地元テレビ局で取り上げられるなど、大きな注目を集めている。協会・医会、保団連は、医療現場の実態に基づいた正しい情報発信も、マスコミに求めている。
4回目ワクチン 医療従事者へ対象拡大
保団連は5月23日、病院や介護施設等での感染対策のため、4回目のワクチン接種対象者を60 歳以上と基礎疾患のある人に限定せず、医療従事者や介護・障害者施設従事者等にも拡大することを、首相、厚労大臣、ワクチン接種推進担当大臣に要請した。
7月22日に厚労省は、18歳以上60歳未満の医療従事者等及び高齢者施設等の従事者も接種対象とする方針を示した。
コロナ外来特例延長が実現
保団連は、7月14日、7月末が算定期限とされていた新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬の臨時的取り扱いの継続を強く要望した。
厚労省は、7月22日に、二類感染症患者入院診療加算(250点)と電話や情報通信機器による療養上の管理に係る点数(147点)の算定期限を9月末まで延長するとした。
保団連は、PCRの検査料・判断料の引き上げ、外来等感染症対策実施加算、入院感染症対策実施加算、乳幼児感染予防策加算の復活、恒久化も以前から継続して求めている。
会員のコロナ対応をサポート
全国の協会・医会では、診療報酬臨時措置や検査、ワクチン接種の公費請求の問い合わせ対応など、会員医療機関のコロナ対応を全力でサポートしている。東京協会では、コロナ禍で診療報酬の質問が殺到。多いときには月5000本以上の電話での問い合わせに対応している。こうした協会・保団連の取り組みに、会員から厚い信頼と期待が寄せられている。