医療界にジェンダー平等を 女性医師・歯科医師の取り組み
私は小児科医になってあと数年で半世紀になります。保険医の生活と権利を守ると共に医療を充実させるという基本理念に共感し、保険医協会会員となりました。当初は一会員でしたが、岩手にも女性部を立ち上げてから企画運営にも関わるようになりました。はじめは会員同士の交流が主でしたが、保団連女性部の活動からも学び、市民向け学習講演会や弁護士など他分野の女性との交流も行ってきました。
私の学生時代、女性は1割以下でしたが、最近は過半数を占める医学部もあります。現在は35歳未満の医師の約3分の1は女性となっており、今後はその割合が大きくなるのは確実です。
ジェンダー平等が話題になる中、2018年医学部入試の女性差別が大きな波紋を広げました。絶対的医師不足の中で女性医師が増えると現場が回らないという声もあり、過労死ラインを超えるような医師の過酷な労働実態がその背景にはあります。
女性医師の場合、妊娠出産などを契機に卒後10年前後に就業率が一定下がるいわゆるM字カーブがあります。中には家事育児などに関わるために専門医や研究の継続を断念せざるをえない場合もあります。
世界経済フォーラムが発表した2022年のジェンダーギャップ指数で日本は116位とG7で最下位、女性医師の割合もOECDで最低です。保団連女性部では女性医師の労働環境改善は全ての医師の労働環境改善につながるとして、「女性医師の働く環境改善のための提言」や女性開業医の産前・産後休暇の取得状況の調査結果などを社会にアピールしてきました。
コロナ禍での医療崩壊の現状をみても医師数の確保はじめ医療供給体制の安定は喫緊の課題です。
医師の人間らしい働き方を保障することは、安心安全な医療提供のためにも不可欠です。医療界でもジェンダー平等を進め、新しい会員の参加を得て、活動の幅を広げたいと思います。