2度目のコロナ禍で実施された2022年診療報酬改定をどう見みるか、全3回で掲載する。1回目は今次改定の概要、コロナ対応について取り上げる。
2022年改定の概要
2022年診療報酬改定は新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの発生によって、日本の医療・社会保障の脆弱性が浮き彫りとなった中で実施された。従って医療提供体制を抜本的に立て直し、新興感染症にも十分対応可能とすることが必要であった。
そのため診療報酬の抜本的引き上げにより、感染防止対策への十分な評価、人員の確保・拡充、及び新型コロナウイルス感染症への対応に忙殺されている医療機関の事務負担軽減を図ることが求められていた。
しかし改定率は本体+0・43%とされ、2020年度改定の本体+0・55%より低く抑えられた。またコロナ特例の廃止やリフィル処方の導入等の政策改定を強行し、+0・23%まで削られる結果となった。いままた第7波の感染拡大に対し、政府は十分な感染防止策を実施していない。また、医療提供体制の確保に対する措置も全く不十分で、各地で医療崩壊が起きる事態となっている。感染拡大にも十分な余裕を持って対応できる体制の確保が求められており、国民のいのちと暮らしを守れる政治への転換が必要だ。
感染防止対策の抜本的強化が必要
コロナ禍のみならず、今後の新興感染症対策も含めた感染防止対策はますます重要性が増している。しかし今次改定で新設された入院、外来の感染対策向上加算は、施設基準が厳しすぎると指摘されており、入院では「旧感染防止対策加算1算定医療機関が感染対策向上加算1にスムーズに移行できない」との声や、「連携先がそもそも少ない、ない」などの声が出されている。このままでは必要な体制確保が困難であり、十分な機能を果たすことができないことは明らかだ。
さらに7月初旬から第7波が急拡大したことを受け、保団連、協会・医会は、7月末で廃止が予定されていた「電話等による診療(新型コロナウイルス感染症・臨時的取扱)147点」「二類感染症患者入院診療加算(外来診療・診療報酬上臨時的取扱)250点」の延長を要請した結果、9月末まで延長された。しかしまん延が収まらない中では、一般医療を担う地域の医療機関の感染防止の原資であった加算(外来等感染症対策実施加算、入院感染症対策実施加算、乳幼児感染予防策加算)の復活、及び感染のまん延防止のための検査実施に係る点数評価を抜本的に引き上げることが必要だ。
保団連は7月29日付で厚労大臣等宛ての「新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望書」を提出し、上記の要望と併せて、感染防止対策の抜本的強化を要請、現段階も各地と連携して要請を強めている。