外交こそが唯一無二の 解決策 平和への希求

 1945年8月6日、8月9日に広島と長崎に原子爆弾が投下された。多くの市民が犠牲となり、77年たった今日においても多くの被爆者が放射能の影響に苦しんでいる。核兵器は究極の非人道的兵器であり、二度とこの悲惨な結末を繰り返してはいけない。そのための唯一の方法は、核兵器の廃絶である。NPT(核拡散防止条約)を実効性のあるものとし、核兵器禁止条約にすべての国々が批准し、完全な国際的規範とする流れをつくることである。しかしそのような中、2月24日、ロシアはウクライナに軍事侵攻を開始した。プーチン大統領は同日「ロシアは世界で最も強力な核保有国の一つ」と発言。同27日、核戦力を念頭に「ロシア軍の抑止力部隊を特別警戒態勢」に移行するよう命令した。これは核兵器による威嚇以外のなにものでもない。核兵器が戦争の抑止のためにあるのではなく、威嚇や、核を実際に戦術・戦略的に使用するという現実が明らかになったといえる。さらには原発に対しての攻撃も行われ、新たな形での放射能被害に人々は危機感を抱いている。反核医師の会が訴えているように、広島で、長崎で私達の先輩医師たちは原爆で傷ついた人々を助けようと懸命に努力した。しかし、放射能障害を前に医学は無力であった。そのことは今も変わらない、そして今後も変わることはないであろう。治すことができないのなら、私たち医療者の務めは予防すること。それは核廃絶なのである。そしてこのような事態を引き起こす根源は戦争であり、国家間の対立である。武力による解決は憎しみの連鎖しか生み出さない。外交こそが唯一無二の解決策である。対立ではなく対話と協調、相互理解と融和を生み出す世界を早急に且つ永続的に構築する体制づくりが求められている。
(監査 杉目博厚)