2022年歯科診療報酬改定をシリーズで解説する。今回は、口腔機能管理料の変更点を取り上げる。(全19回)
口腔機能低下症
口腔機能低下症とは、加齢や疾患などさまざまな要因でいくつかの口腔機能の低下による複合要因により現れる病態である。
中年期からの口腔機能低下症を適切に診断し、管理していくことで重症化を予防し、口腔機能を維持、回復していくことが必要である。口腔機能管理料は、22年改定で対象年齢が65歳以上から50歳以上に拡大された。
算定要件
一.歯管または特疾患を当月または前月以前に算定した口腔機能の低下を来している患者に対して同意を得て、当該患者の口腔機能評価に基づく管理計画を作成し、療養上必要な指導を行った場合に月1回に限り10点を算定する。
二.50歳以上の患者で「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)に示されている診断基準において、①口腔衛生状態不良②口腔乾燥③咬合力低下④舌口唇運動機能低下⑤低舌圧⑥咀嚼機能低下⑦嚥下機能低下の7つの症状についてそれぞれ検査を行う。
ただし、咀嚼機能低下(咀嚼能力低下)、咬合力低下(咬合圧検査)、低舌圧(舌圧検査)のいずれかに該当する必要がある。
三.当該管理料を算定した月は、周Ⅰ~Ⅲ、歯在管、訪問口腔リハ、歯科矯正管理料は算定できない。
四.対象が50歳以上に拡大されたが、「脳卒中」や「パーキンソン症」等の全身的疾患を有する疾患で口腔機能低下症の診断基準を満たす場合は50歳未満であっても算定できる。
「摘要欄」に関連する全身疾患名の記載が必要である。
五.レセプトの傷病名欄には「口腔機能低下症」とする。
管理計画指導・管理の記録
算定にあたって口腔機能の管理計画を策定し、その内容の情報を文書により患者に提供し、文書の写しをカルテに添付する。
なお、歯管の文書提供に口腔機能に係る情報が含まれていれば、本要件を満たすものとして差し支えない。
口腔機能低下症の検査
一.舌圧検査(1回につき140点)
舌の運動機能を評価する目的で、舌を口蓋部に押し上げるときの圧力を舌圧計で測定する。継続的な口腔機能の管理を行っている患者に3月に1回限り算定する。
二.咀嚼能力検査(1回につき140点)
グルコース分析装置で咀嚼時のグルコース溶出量を測定して咀嚼能率を測定する検査。有床義歯咀嚼機能検査を算定した月は算定できない。6月に1回に限り算定する。
三.咬合圧検査(1回につき130点)
歯科用咬合力計を用いて、咬合力および咬合圧の分布等を測定する検査。有床義歯咀嚼機能検査算定した月は算定できない。6月に1回に限り算定する。