2022年歯科診療報酬改定をシリーズで解説する。今回は、歯科衛生士に関連する点数の変更点などを取り上げる。(全19回)
歯科訪問診療補助加算(訪補助)は、歯科衛生士が歯科医師と同行の上、訪問診療時間内にその時間を通して診療補助を行った場合に算定する。これまでは、同居する同一世帯の複数(2人~9人)の患者を診療し、1人目に訪問診療1を算定する場合の訪補助は、同一建物で複数診療した場合(図1※1)で加算することとされていたが、今次改定において、同一建物居住者以外(1人のみ)の点数(図1※2)で加算できることとなった。ただし、2人目以降の訪問診療2を算定した患者の訪補助の取り扱いは変わらない。また、訪補助と訪衛指は同日の算定が可能だが、訪補助を実施した時間帯(つまり訪問診療の時間帯)と訪衛指の時間帯が重複する場合は、算定要件を満たさないので注意が必要だ。
そして、今次改定では通信画像情報活用加算(ICT加算)30点(月1回限り)が新設された。歯援診1・2または病初診の施設基準が必要である。算定の流れとしては、訪問診療を行っている患者に対し、訪衛指を算定する日に歯科衛生士等が訪問先において患者の口腔内の画像を撮影、歯科医師がリアルタイムで観察し、その情報を次回の訪問診療において活用した場合に算定する(図2)。このICT加算を算定する場合は、口腔内の状態を観察した内容、観察を行った日などの要点をカルテに記載することが必要である。使用するカメラは、歯科用口腔内カメラや歯科診断用口腔内カメラでもビデオ画像を歯科医師がリアルタイムで観察できるものであれば該当する。算定にあたっては、口腔内を観察した日から起算して2月以内に訪問診療を実施し、訪問診療1・2(3は加算不可)の算定に加算することになっている。しかし、やむを得ず患者が入院した場合には、レセプト摘要欄にその旨を記載することで観察日から6月以内に限り算定できる。なお、自宅や居住系サービスで入所中の患者に介護保険の居宅療養管理指導費(歯科衛生士等)などを算定する場合は、レセプトの摘要欄にその旨を記載することでその実施日でもよいとされている。
(歯科社保・審査対策部員 池上正資)