平和国家のブランド壊す 9条改憲に警鐘
藻谷浩介氏が講演 全国会長・理事長会議
保団連は10月22、23の両日、東京都内のホテルで全国会長・理事長会議を開催した(ウェブ併用)。日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷浩介氏が記念講演し、9条改憲は日本の平和国家としてのブランドを壊すと指摘した。また、保団連の活動方針について活発に討議された。
会議の1日目は、現在、大きな課題となっているオンライン資格確認システムの導入義務化や保険証廃止の問題について活発な活動交流と意見交換が行われた。発言者からは協会・医会の取り組みの紹介とともに、デジタル大臣の保険証廃止表明によりこの問題が国民的課題となったこと、国民各層との共闘の必要性などが強調された。また、今回のように強引に政策課題を進める政治、行政手法を許さず批判を強めること、地域から医師会・歯科医師会等にも働き掛けていくこと、国会議員への働き掛けを強め、早期に問題解決を図ること等が指摘された。
日本は「幕末化」
2日目は、藻谷氏が「大砲かバターか―『9条改正』は自滅の道」と題し講演した。藻谷氏は、日本の現状について、実力と乖離した「身分」の固定化、事実を確認する能力・習慣がない、攘夷気分のまん延(「日本は優秀だった」との傲慢と、「今は凋落した」との卑屈とを、同時に抱えて、排外的になった状態)などを挙げて「幕末化」していると指摘。憲法改定の問題、政府の経済対策やコロナ対応など、さまざまな問題について感情論が溢れ、事実に基づく議論が行われていないと述べた。
「9条改憲で国を守る」という意見については、そもそも憲法は自国政府を縛るもので、他国の行動を規制するものではないこと、攻撃を受けた際に自衛する権利はすでにあることを指摘し、「憲法に『武力行使を辞さない』などと強気なことを書けば防衛力が増すというのは、『言霊信仰』の『言葉遊び』に過ぎない」と批判。むしろ9条改憲は、先制攻撃をしない「平和国家」のブランドを崩し、中国や韓国との緊張関係を高め、リスクが増すだけだと指摘した。