介護保険が使えなくなる
政府がさらなる負担増を議論
社会保障審議会介護保険部会委員
認知症の人と家族の会副代表理事
花俣ふみ代氏に聞く
物価高騰が続き国民生活が困窮する中、政府は10月1日、75歳以上の医療費窓口負担2割化を強行した。さらに来年の通常国会に向け、介護保険の負担増が厚労省の社会保障審議会介護保険部会で議論されており、年末に取りまとめられる予定だ。認知症でも安心して暮らせる社会を目指す「認知症の人と家族の会」の副代表理事で介護保険部会の委員でもある花俣ふみ代氏(写真)に議論の内容などを聞いた。
議論尽くさず実態みない提案
―介護保険部会での議論の状況について教えてください。
介護保険部会での介護保険法次期改正に向けた議論は今年3月から始まりましたが、「給付と負担」については9月下旬になってやっと議題にあがりました。本格的な議論は10月下旬に始まったばかりです。
年末の取りまとめに向けて、利用者に大きな影響を与える内容が、議論を尽くさず決められてしまうのではないかと懸念しています。
議論されている検討項目はすべて負担増、給付削減につながる内容です。政府は「負担能力」に応じた負担を求めると言っていますが、何をもって「負担能力」があると判断するのでしょうか。議論の前提条件となる高齢者の経済状況、暮らしの実態を示す具体的な資料を求めても、いまだに出されていないのが現状です。
対人援助の極みである介護現場において「生産性向上」という言葉が使われているなど、政府の提案は現場の実態、利用者の実情を見ない提案だと感じています。
(3面につづく)