義務化撤回求め集会
現場の声を国会議員に届ける
保団連は12月1日、オンライン資格確認義務化の撤回などを求めて国会内集会を開いた。ウェブを含めて200人が参加し、医療現場の混乱や不安、怒りの声を国会議員に届けた。発言の一部を紹介する。
厚労省は実態を無視している
保団連 竹田智雄副会長
厚労省要請では、保団連の緊急調査結果をもとに、義務化がいかに理不尽であり、患者・国民、業者、医師・歯科医師、医療機関にとって不適切であるか、そして医療DXが本来目指すべきこととは正反対のことが起きていることを強く指摘した。
しかし、厚労省に「システムがうまくいっていない」と伝えても、「アプリの改修をメーカーへ指示した」「トラブル時には住所などの4項目を入力すれば確認できる」との回答のみで、現場の実態を無視している。
閉院を決意するところまで追い詰められている仲間がいるので、何としても撤回に向けて頑張りたい。
ベンダーも今年度中の導入「無理」
兵庫協会 森岡芳雄副理事長
小児科の現場から考えると、顔認証はさまざまな問題がある。例えば、子どもの顔つきはすぐに変わる。障がいがあり豊かな表情ができない人もいる。また、緊急時に保護者がマイナ保険証を持ってこられるのか疑問だ。
兵庫協会が実施したベンダー調査では、ベンダーは今年度中に全医療機関に導入することは無理だと考えていて、補助金も足りていないことが明らかになった。
地域医療に大きな損失を与える
神奈川協会 二村 哲理事
神奈川協会で行ったオンライン資格確認に関する会員アンケートでは、義務化の対象外とならない場合、1割が「閉院を考える」と回答した。このままでは地域医療に大きな損失を与える。
システム導入費用も補助金では足りず、導入後のランニングコストを負担に感じている。その上、歯科はインターネット回線の敷設から必要になるため、医科の倍のコストがかかる。「収入が3分の1になり従業員の給料の支払いも困難になっているのに」「義務化するなら全額補助をしてほしい」との声も寄せられている。
相次ぐランサムウェア感染により、サイバー攻撃が身近な脅威になっている中で、システムを導入すれば被害リスクが高まる。カードリーダーの不具合で混乱が生じ、医療提供体制が麻痺する恐れもある。問題が多く、来年4月からの義務化は現実的ではない。現場の不安や怒りの声を中医協再検討に反映させるためにも、地元選出議員に臨時国会での質問を要請しよう。
システム不具合の原因分からず不安
千葉協会 中村健一理事
今年8月に丸1日かけてシステムを導入した。翌日システムをチェックすると全く機能せず、NTTに電話してもつながらず、ベンダーに問い合わせると「昨日設定したから大丈夫」と回答があったが、結局直らず原因も分からなかった。こうしたやりとりを1週間も繰り返した。システムを理解している人がいないため、なぜ不具合が生じたかのか分からない。これまでマイナ保険証を持ってきたのは2人だけで、どちらも認証できたが、もしもの時が不安だ。