オンライン資格確認 経過措置を答申
対象・期間は限定的
オンライン資格確認義務化を巡り、中医協は昨年12月23日に経過措置と療養担当規則の改正案を答申した。義務化撤回を求める全国的な動きを受けて国会でも多くの質問が出され、厚労省を動かしたが、経過措置の対象や期間は限定的だ。保団連は1月12日、厚労大臣に改善を求める要望書を提出。引き続きオンライン資格確認の義務化撤回や、保険証廃止を前提とした経過措置の抜本的な改善を求めていく。
経過措置の対象施設は、①システム整備中②ネットワーク環境事情③訪問診療のみ④改築工事中・臨時施設⑤廃止・休止⑥その他特に困難な事情―のいずれかを満たす医療機関で、今年3月31日までに地方厚生局長又は地方厚生支局長へ原則オンラインでの届出が必要となる。
⑤の廃止・休止予定の時期は「遅くとも令和6年秋まで」と限定され、数年後に閉院・休止を予定している医療機関は対象外となる。これは昨年10月16日に河野太郎デジタル大臣が表明した、2024年秋までに保険証を廃止する方針に合わせたものだ。
そもそも、法改正や法案審議も経ずに3大臣の合意のみで保険証廃止を決定したことは憲法31条「法的手続きの保障」を逸脱する重大な問題だ。その上、この方針を前提に厚労大臣が中医協に諮問し、経過措置等を決定したことで、さらなる矛盾を招いている。
保団連が昨年11月に実施した調査(回答数8707件)では、療養担当規則で義務化された中でもなお、15%が「導入しない・できない」と回答。その理由は、「情報漏洩、セキュリティ対策が不安」 63%、「レセコン、電子カルテの改修で多額の費用が発生する」61%、「対応できるスタッフがいない、少ない」50%、「高齢で数年後に閉院予定」45%だった。
義務化を契機に閉院を早めた医療機関もあり、地域医療に影響が出始めている。中医協でこうした実態を考慮することもなく、期間も対象範囲も限定的な経過措置を決定したことは大きな問題だ。