オンライン資格確認義務化で東京協会が呼びかけ提訴

オンライン資格確認義務化で東京協会が呼びかけ提訴

「義務」不存在の確認求め 会員ら274人

 東京保険医協会の医師ら274人は2月22日、オンライン資格確認の義務化は違憲・違法であり公法上の義務が存在しないことの確認を求め、国を相手に東京地裁に提訴した(オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟)。提訴後の記者会見で弁護団は、「健康保険法が委任していない事項を療養担当規則で規定したことは憲法41条に反し、違法」と主張。東京協会役員らは「療養担当規則の改定で義務化したことはあまりに乱暴」、「廃業する医療機関も存在し、地域医療に損失をもたらす」と提訴に踏み切った思いを語った。東京協会は、全国の医師・歯科医師に訴訟への参加を呼びかけている。

 東京協会は1月理事会で原告団を結成し、国を提訴する方針を決定。協会会員を中心に訴訟への参加を呼びかけてきた。2月28日までに450人が参加の意向を示している。提訴後の記者会見で東京協会の佐藤一樹理事は「昨年8月24日の説明会で厚労省担当課長が『義務化に従わないと保険医療機関指定の取消事由となりうる』と発言したが、根拠となる省令は違憲・違法であることは明らか」と提訴のきっかけを説明した。

地域医療に大きな損失

原告団代表で東京協会の須田昭夫会長は「システム整備が困難で全国的に廃業せざるを得ない医療機関も出ている。地域のことをよく知る医療機関が廃業することは地域医療に大きな損失」「患者情報の漏えいを防ぐためのセキュリティー対策費用や運営費用への財政補助がなく、災害発生時やシステム障害時に保険診療が継続できるか不安ばかり」と医療機関の現状や地域医療への影響を訴えた。東京協会の吉田章副会長は「健康保険証による目視での資格確認で何のトラブルも起きていない。わざわざ顔認証を使用し、マイナンバーカードによるオンライン資格確認を義務付けたことは大いに疑問」と述べた。
閣議決定すら行わず、健康保険証廃止方針を示し、任意原則のマイナカード取得を事実上強制する政治手法も強く批判した。

改正療担規則は法律の委任外

請求の趣旨について弁護団代表の喜田村洋一弁護士は「国が昨年9月に療養担当規則を改正し、2023年4月から医療機関等にオンライン資格確認のシステム整備を義務付けたことは、違憲・違法である。オンライン資格確認を行うこととオンライン資格確認に必要な体制を整備する公法上の義務は存在しない(改正省令は無効)」と主張。違憲性・違法性について弁護団は「健康保険法が療養担当規則に委任しているのは『療養の給付』であり、『資格確認』については委任の内容に含まれていない。法律が明示的に委任していない事項を省令で義務づけるのは、憲法41条に違反している。また仮に委任を受けていると解釈しても、健康保険法の委任の範囲を逸脱しており違法である」と主張した。東京協会は、第2次訴訟に向けて全国の保険医・歯科保険医に訴訟への参加を呼びかけている。