保団連は、オンライン請求「義務化」撤回を求めて10月5日に厚労省要請を実施します。この間の取り組みや現時点までの到達点、課題を振り返ります。
半数超が義務化に反対
オンライン請求「義務化」に関する保団連の会員アンケートで、過半数の医療機関が義務化に反対しています。アンケートでは、回答を寄せた4439医療機関のうち、2333機関(52・6%)が「義務化」に反対し、賛成は403機関(9・1%)だった。2767機関(62・3%)がオンライン請求を実施していたが、未実施の1672機関のうち804機関(48・1%)が「今後導入の予定がない」と答えています。自由記述から、医療機関はセキュリティー対策に不安を抱えるとともに、現状の請求方法に不便を感じない中でランニングコストや人員の確保に困難を抱えていることが浮き彫りになりました。
閉院検討早まる
7月28日に実施した厚労省要請では「歯科では診療規模の縮小を見通したときに高額機材への支出を抑えることがある。60歳ごろでも閉院の検討が始まっている今、紙請求の新規適用が廃止されてレセコンの使用中止を検討できなくなれば、閉院に追い込まれる医療機関はさらに増える」と指摘。「審査・支払機関が負担する審査の実務的・費用的コストが医療現場に押し付けられる構造だ」と訴えました。厚労省は「夏の間にパブリックコメントを募集予定」とし、経過措置に年限を設けることは「現時点ではない」と述べ、「義務化」方針に固執する一方で、「全医療機関に導入できるとは思っていない」「声を真摯に受け止め廃業のないように進める」と回答しました。
歯科は半数が光ディスクで保険請求
令和5年6月段階で歯科医院(67000機関)の52.8%にあたる3万5000機関が光ディスクで保険請求をしています。請求省令を改正してわずか1年足らずで拙速に光ディスクによる保険請求の受付を原則廃止することは地域医療の崩壊に繋がります。10月5日の厚労省要請ではこれまで通り請求方法を認めるよう要望していきます。
光ディスクによる請求は24年9月で原則廃止
厚労省が示した改正省令案(パブコメ)では、2024年9月で光ディスクによる保険請求を原則廃止するとしています。23年4月からのオンライン資格確認義務化、24年9月の健康保険証廃止に続き、オンライン請求「義務化」は、医療機関経営に追い打ちとなります。コロナ禍の4年間、感染リスクを抱えながら地域医療を支えてきた医療機関を、システム整備やデジタル化に対応できないという理由だけで閉院・廃院に追い込むことは患者・国民にとってもマイナスです。
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