厚労省・総務省は、低迷するマイナ保険証の利用率を向上させるため、医療現場の混乱や患者の希望を考慮せず、なりふり構わない姿勢であらゆる手段でマイナ保険証利用率に向けた推進策を打っています。
1月25日は、全国890の自治体病院等に対して、マイナ保険証の利用率向上の計画・目標を2月22日までに提出させる通知を出しました。
数値目標の「参考」としてマイナ保険証利用率を23年10月の利用率を基準として、「24年5月末で20%上昇させる」、「24年11月末時点で50%上昇させる」という達成不可能な「ノルマ」を達成させようと躍起になってます。
そのため、マイナ保険証受付の専用レーンの設置や専門職員の配置などを全国の890の自治体病院等に求めています。
専用レーン設置で受付が渋滞に
厚労省や総務省の所管下にあり、国の言うことを聞かざるを得ない立場にある公立・公的病院、自治体病院を狙い撃ちにしたものですが、病院外来はそんな余裕はありません。とても対応できないと思います。
専用レーンの設置やマイナ保険証利用の声掛けを行うために、自治体病院は赤字続きで追加的に受付窓口に職員を配置する金銭的・人的余裕はありません。追加的な増員がないとどうなるでしょうか。
専用レーン設置による受付職員を配置するため、従前の健康保険証による受付窓口体制が少なくなります。一方で、マイナ保険証利用率が4%弱ですので、100人外来患者が来たら、現状では4人しか専用レーンを利用していませんが、通常受付の職員は少なくなるので受付対応に時間を要することになります。マイナ保険証専用レーンの設置でかえってスムーズな受付が妨げられ皮肉な結果となることが目に見えてます。
マイナごり押しで受付時間が長くなる!?
厚労省は、「マイナ保険証利用で受付時間が早くなる」とのメリットを掲げています。これは、初診受付で住所など患者情報の記載と医療機関のシステムへの登録の時間が省けて、受付事務が早く済むという趣旨からメリットを強調しているものです。
保団連は、低診療報酬で少ない医師・看護師が外来患者をたくさん診察しなければならないから待合時間が長くなりがちであることが真の要因であると指摘し、厚労省のメリット論は「まやかし」と批判してきました。
マイナ保険証/オンライン資格確認システムのメリット論を検証する – 全国保険医団体連合会 (doc-net.or.jp)
マイナ保険証専用レーンの設置、専門職員による声掛け等の強引なマイナ保険証利用促進策により、健康保険証による受付対応する職員が減らされ、結果として「健康保険証による受付が遅くなる」という状態を作り出すことになります。厚労省・総務省の強引なマイナ保険証推進策が医療現場の妨害そのものです。
特に、インフルエンザのピークを迎えており、学級閉鎖も増加しています。新型コロナの第10派の流行の真っただ中で発熱外来として動線分離も必要であり、受付職員にマイナ専用レーンの設置や職員の配置などしている余裕はありません。新たなマイナトラブルの引き金となり、「医療の質向上」どころか「診療妨害」とも言うべき事態が発生しかねません。
政府は、医療機関を動員し、自治体病院に「過大なノルマ」を課す、利用率向上の「ゴリ押し」を中止すべきです。
【#マイナ保険証押し付けないで】自治体病院にマイナ保険証利用率5月末で20%、11月末時点で50%と達成不可能な「ノルマ」!!