健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一本化する法案は2023年4月25日、衆議院委員会で採決されました。採決には自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党は賛成しました。立憲民主党と日本共産党は反対しました。法案採決からまもなく1年が経過します。2023年4月14日の参議院特別委員会の審議を振り返りました。
2023年4月14日、参議院委員会で、日本共産党の伊藤岳参議院議員は保団連の「健康保険証の廃止に伴う高齢者施設等への影響調査(影響調査)」(N=1,219)の結果をもとに、高齢者施設等への影響について質問を行いました。
伊藤議員は、影響調査では83.6%の施設が利用者・入所者の保険証を「管理している」と回答したことを紹介し、圧倒的多数の施設で保険証を管理していることを指摘。「老健、特養施設において利用者・入所者の保険証を管理していると認識しているか」と問い質しました。大串正樹デジタル副大臣は、「管理の実態は認識している」と答弁しました。
カード取得困難者がいても保険証廃止か
続けて伊藤議員は、影響調査で利用者・入所者の代理申請について「対応できる」と回答した施設はわずか6.5%に過ぎなかったことを受けて、「このままでは要介護高齢者はマイナカードを取得できないことになるが、それでも保険証を廃止するのか」と質問しました。大串副大臣は、中間とりまとめでは、施設職員や支援団体等に申請代理交付の支援について協力要請するとした上で、市町村が介護福祉施設に出張して受け付けるという体制整備も推進するとしていると述べ、「マイナカードの管理のあり方の留意点を整理するなど施設・入所者の双方が安心してマイナカードを管理できる環境づくりを推進することとしている。引き続き関係者のご意見やご要望を伺い、保険証との円滑な一体化を進めていく」とあくまで保険証廃止を強行する姿勢を示しました。
圧倒的多数の施設がカードを管理できない
伊藤議員は、仮にマイナカードを取得できても圧倒的多数の施設(94.0%)が利用者・入居者のマイナカードの管理(暗証番号を含む)をできないと回答していることを紹介し、認識を質しました。大串副大臣は、施設入居者等にも本人の過去の医療・保険情報に基づいた医療を受けることができるよう保障する必要があるとして、「施設・入所者双方が安心してマイナカードを管理できる環境づくりを推進する。関係者の意見や要望を聞き円滑な一体化を進める」と繰り返しました。
保険証を残すべきではないか
伊藤議員は、保険証廃止は本当に医療や介護を必要としている人たちが受診やケアから阻害される間違った事態になっていると指摘し、「現場の声を真摯に受けとめるのであれば、保険証を残すのが真っ当な政治判断ではないか」と迫りました。大串副大臣は、マイナ保険証のメリットを強調し、「来年秋に保険証を廃止することを予定している」と答弁しました。 伊藤議員は「対応できない人もいるから保険証を残すべきだ」と訴えました。