【武見厚労大臣6月11日】「マイナ保険証のみ受付」トラブル 無理強いやめて 

マイナ保険証でしか薬出さないは法令違反

現行の健康保険証での受け付けない運用をしている大手調剤薬局があり、「マイナ保険証を勝手に紐づけられた」、「マイナ保険証しか使えないと誤解した」など苦情が相次ぎ、患者が処方箋を薬局に出しているのにマイナ保険証でしか受付できなかったことにより、薬局側が患者さんに謝罪文を出すに至った事例も出ています。各紙の報道やSNSで告発がきっかけとなり、全国的にも同様の被害にあった患者さんによる告発が続いています。

保団連にも「薬局で今年の7月末で保険証(国保)が使えなくなると言われたが、歯科医院でそんな事実はないと言われて安心した」「12月以降マイナカード(マイナ保険証)がないと一旦10割負担になるので注意してと言われたが本当か?」など「虚偽」情報を窓口で伝えられて患者さんが困惑しています。健康保険証を受け取らない運用を開始した薬局は、患者が処方箋を提示しているのに正当な理由なく処方薬を出さなかったことと捉えられ、薬剤師法第21条「調剤の求めに応ずる義務」にも違反します。

参考: 「マイナ保険証でしか薬出さない」は法令違反 

「患者に無理強いやめて 丁寧な説明必要」武見大臣

薬局での「マイナ保険証のみ」運用に伴うトラブルついて6月11日の大臣記者会見で武見敬三厚労大臣は保険証しか使えなかった事例も報告されているとした上で「医療現場においては患者に対して無理強いをするのではなく、丁寧に説明を行い、省令上、薬局は、処方箋、マイナ保険証、健康保険証のいずれかの方法によって患者の資格確認を行うこととされていることも踏まえ、適切に運用していただくことが重要」と述べました。

国のマイナキャンペーンが原因

なぜこのような事態が起きているのか? やはり5月から実施されている政府のマイナ保険証キャンペーンが原因です。

厚労省が医療機関・薬局にチラシ配布やポスター貼付、患者への声掛けを強力に促すことによりより誤解を招きやすい状況となっています。マイナカードをお持ちですかと声掛けさせて持っていない方にもマイナカードを作るよう促させています。任意取得が原則のマイナカードを強制しているとしか思えません。また厚労省が作成したチラシや声掛けにより多くの患者さんが「12月で現行の健康保険証が使えなく」と誤解しています。

マイナごり押しキャンペーンは中止すべき

12月2日以降も最大1年間、現行の健康保険証が使えることや、マイナ保険証がなくても資格確認書が交付されることを意図的に伝えていません。厚労省は、現行の健康保険証が12月2日から新規発行が停止となることから、強引にマイナ保険証利用に移行させたいが、肝心のマイナ保険証利用率が低迷しているので、マイナ保険証利用促進キャンペーンを取り組むにあたって、マイナ利用促進に特化したチラシやトークスクリプト(話法)を医療機関・薬局の職員から声掛けさせることを217億もの補助金を投入して推進してきました。

そのため、医療機関・薬局正しい情報や法令上の取り扱いが何か十分に理解しないまま患者さんに右から左に案内しています。患者さんの誤解・誤認するのは当然です。マイナ保険証のメリットがあるのであれば何もしなくても自然に利用率は上昇します。これほどまでに強引にキャンペーンを展開しないと利用してくれないことが異常事態ですし、国が主導して行う仕事ではありません。保団連は、法令に基づく広報と法令違反を助長する厚労省主導のマイナキャンペーンの中止・是正を求めていきます。

武見敬三 厚労大臣記者会見 6月11日

記者

マイナ保険証の利用促進に関連して、薬局での窓口対応についてお伺いします。一部の薬局で、現行保険証を資格確認に用いない運用があることが取材でわかりました。これにより、患者が「マイナ保険証しか使えない」と誤解してトラブルに発展しています。このような薬局側の対応は適切でしょうか。また健康保険証を受け取らない薬局で、厚労省の示したマイナ保険証の利用促進の声かけが行われることで、より誤解を招きやすい状況となっています。これに問題はないでしょうか。

武見大臣

一部の薬局で健康保険証を資格確認に用いない運用をしていた事案について、現時点で個別具体的に把握はしていませんが、一方で、マイナンバー総合フリーダイヤルでは、保険医療機関・薬局において、マイナ保険証を使わせてもらえず、健康保険証の提示を求められたといった相談もいただいています。いずれにしても、医療現場においては患者に対して無理強いをするのではなく、丁寧に説明を行い、省令上、薬局は、処方箋、マイナ保険証、健康保険証のいずれかの方法によって患者の資格確認を行うこととされていることも踏まえ、適切に運用していただくことが重要であると考えています。一方で、国民の約4割がマイナンバーカードを常に携帯しておられます。マイナ保険証の利用経験者の約4人に3人がマイナ保険証を今後も利用したいと考えているとの調査結果も踏まえれば、やはりより多くの国民の皆様にマイナ保険証の利用体験を持っていただくことがとても重要です。メリットを含め、これからデジタル化に向けて我が国の医療の提供体制というものをより質の高い、より国民の皆様の健康を守れるシステムに高度化しなければなりません。そのためのまさにパスポートがこのマイナ保険証なので、今後とも、このマイナ保険証を利用していただけるよう丁寧に、国民の皆様にお願いしようと思います。