【声明】夫婦同姓強制を合憲とした最高裁決定に抗議し、選択的夫婦別姓制度の速やかな導入を求めます
2021 年7 月9 日
全国保険医団体連合会女性部
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定について、最高裁判所は6 月23 日、両性の平等を定めた憲法24 条には反しないとして「合憲」と判断した。保団連女性部は、ジェンダー平等の観点からこの決定に強く抗議し、選択的夫婦別姓制度を速やかに導入することを求める。
現在、法律上は夫と妻どちらの姓を選んでもよいとされてはいるものの、夫婦同姓の強制により、現実には婚姻したカップルの96%が夫の姓となっている。そのため、多くの女性は婚姻後に、免許証、クレジットカード、銀行口座など多くの名義を変更しなければならず、大きな負担が生じている。これに加えて医師・歯科医師は、結婚・離婚で姓が変わるたびに医籍の訂正を行わなければならない。さらに、改姓により、旧姓で執筆した論文が事実上業績として評価されないことも少なくなく、女性の活躍を妨げている。
そもそも、生来の氏名で生き続ける権利は、男女共に認められるべきである。いかに通称使用が拡大されても、婚姻により多くの女性が生来の氏名の喪失を余儀なくされる実態の下では、ジェンダー平等が実現されているとはいえない。
夫婦同姓を法で強制している国は、世界でも日本だけである。世論調査でも選択的夫婦別姓の導入を望む声は7 割に上り、国連の女性差別撤廃委員会からも制度改正をたびたび勧告されている。
今回の最高裁決定では、選択的夫婦別姓のあり方を国会で論じ、判断すべきとしている。国会は、夫婦同姓の強制がもたらしている不利益や選択的夫婦別姓を求める国民の声に真摯に耳を傾け、選択的夫婦別姓制度の立法化に速やかに踏み出すべきである。