保団連が実施した5月以降のマイナ保険証トラブル調査では1万2千医療機関から回答があり回答医療機関の7割が「トラブル・不具合があった」と回答しており、8割が保険証でトラブルを回避したと回答しています。
厚労省はマイナ保険証での受付ができなかった場合の対応を示したチラシを作成し活用を呼び掛けています。11月19日、保団連は厚労大臣記者会見でマイナ保険証が使えない場合、①健康保険証によるトラブル対応が明記されなくなった②マイナポータルや資格情報のお知らせで確認することを明記しているが、資格情報のお知らせは、現時点で国保や後期高齢の被保険者には交付されていないため使えない、スマホが使えないマイナポータルにログインできない方も大勢いると指摘しました。福岡厚労大臣からは、健康保険証も含めて様々な方法で対応して欲しい、医療機関・国民双方に周知していくことが重要と答えました。厚労省担当者によるとチラシはホームページ掲示しているが、チラシやポスターの形で医療機関に配布する予定は今のところないとのことです。
<11月19日福岡厚労大臣記者会見>
記者
マイナ保険証についてお伺いします。従来の紙の保険証の発行停止まで2週間ほどとなりましたが、マイナ保険証の使用率が伸び悩んでいるように見受けられます。この使用率は、政府として想定外なのか想定内なのかご認識をお伺いします。そしてメリットの1つとして、これまで、リアルタイムで処方箋情報がわかる点も挙げられてきたと思います。ただ、「電子処方箋」の医療機関や薬局での運用は少なく、政府が目標と掲げてきた今年度中の達成は難しい状況のように見受けられます。この状況を受けて、改めて課題認識と、これまで政府として挙げられてきたメリットを国民が享受できるようになるスケジュール感についてお教えください。
福岡厚労大臣
9月のマイナ保険証の利用件数は2,715万件、利用率は13.87%と、上昇傾向にはあるものの、更なる利用促進の取組が必要だということです。マイナ保険証を利用していただくかどうかということについては、あくまで利用されるご本人のご意向によるものですが、12月2日以降も最大1年間は現行の保険証が使用可能であることも踏まえ、12月時点のマイナ保険証の利用率の目標は設定していません。そのため、想定内・外というお話がありましたが、目標をそもそも設定していないということです。一方、マイナ保険証は、過去の医療情報を活用したより良い医療の提供が可能となるほか、リアルタイムでの薬剤情報の共有が可能になる、救急医療の現場で医療情報の共有が可能になる、患者様のカルテ情報を医療機関等が電子的に送受信できるようになるなど、メリットがあるということは従来から申し上げてきたところです。こうしたメリットを実感いただけるよう、国民の皆様方の不安解消に向けた取組を引き続き丁寧に進めながら、利用促進に努めてまいりたいと思っています。 電子処方箋の運用開始施設については、11月10日時点で、39,911施設と医療機関・薬局の18.9%にとどまっています。医療機関、病院や診療所は低調ですが、薬局については半数以上において導入されており、皆様方が薬局においてマイナ保険証を活用することにより、最新の処方・調剤情報が把握でき、重複投薬などのチェックも可能な環境が整いつつあると認識しています。他方で、医療機関において導入が進まない要因として、導入に向けたシステム改修に要する費用負担や、周囲の施設への普及待ちといったご意見をいただいており、医療機関のシステム改修費用の助成や公的病院への導入状況のフォローアップなどにより、引き続き普及の拡大に努めてまいりたいと考えています。
保団連
マイナ保険証トラブルへの対応について、当方の調査で、8割が保険証で資格確認を行ってトラブルを回避しています。10割負担をいただかないように努力しています。一方で、厚労省が新たに作成したチラシでは、これまで健康保険証でマイナトラブルがあった場合確認してくださいという案内がありましたが、今回のリーフではそれが消えています。マイナ保険証が使えない場合、マイナポータルでの確認や資格情報のお知らせの提示などが記載されていますが、資格情報のお知らせは、国保、後期高齢の加入者にはまだ交付されていません。来年7月予定です。マイナポータルも、高齢の方はアクセスできない方がたくさんいらっしゃいます。このような案内でマイナトラブルへの対応が医療現場でできるとお考えでしょうか。健康保険証が明記されなくなった理由も含めてご回答をお願いします。
福岡厚労大臣
マイナンバーカードをお持ちではなく、有効な保険証をお持ちの方については、引き続き、最大1年間は保険証を提示することで資格確認が可能です。ご指摘のチラシについては、私も目を通してみましたが、その中には、マイナ保険証をお持ちでない場合のところに健康保険証について記載されていますので、どの部分をもって今のご指摘があったかということについてはわかりませんが、それを踏まえて申し上げれば、ご指摘のチラシは12月2日以降、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行し、現行の保険証は最大1年間有効であるものの、新規に発行されなくなるため、保険証をお持ちでない方への配慮も必要になることを想定してつくられたものです。マイナンバーカードとあわせて、マイナポータルの資格確認画面や資格情報のお知らせを提示する方法のほか、患者様に対する過去の資格情報の口頭確認や、患者様に資格申立書を記載いただく方法などにより、10割負担ではなく、3割等の適切な自己負担により受診できることについても、お示しさせていただいたものです。複層的に、このような対応を用意することで、12月2日以降も安心して受診していただく環境を整えていきたいと考えています。厚生労働省としては、医療機関等や国民双方に対して、今般作成したチラシに記載している対応を周知していくことが重要であると考えており、引き続き、国民の皆様の不安解消に向けた取組を進めてまいりたいと思います。
保団連
資格情報のお知らせ自体がまだ届いていないです。大半の国民が。それでどうやってトラブル対応するのかということについてご回答がなかったので、もしわかれば教えてください。
福岡厚労大臣
様々なことの周知は、チラシ等も含めてさせていただいていますし、その中で資格情報が届いていない方も、今お持ちの健康保険証が引き続きお使いいただけるということはしっかり明記させていただいていますので、そういったことも踏まえて、適切に対応していきたいと考えています。