【厚労大臣】歯科用麻酔・解熱鎮痛剤の入手困難問題 「卸売販売業者に供給を依頼した」

25年薬価中間年改定では、平均乖離率5.2%を超えた後発医薬品が薬価引き下げ対象とされ、品目数は後発品全体の66%と報告されています。保団連は1月17日の厚労大臣会見で「急激な薬価引き下げが後発医薬品の供給不安の原因の一つであり、引き下げる環境にない」と指摘し、薬価引き下げても安定供給に支障がでないとする根拠を質しました。

福岡厚労大臣は、25年薬価中間年改定について「保険料負担の軽減と、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の両立が重要」と言いつつ、「薬価の引き下げだけではなく、後発医薬品も含めた医薬品の安定供給の観点から、臨時的に不採算品再算定を実施するとともに、最低薬価を引き上げた」と答弁。後発品の薬価引き下げ対象となる対象品目が66%に上ることによる供給不安への影響について明確な根拠を示しませんでした。

解熱鎮痛剤など感染症対症療法薬の増産要請

インフルエンザ等の感染症急増による解熱鎮痛剤等の供給不足、出荷調整が実施されていますが、その影響で歯科医療機関では、麻酔・解熱鎮痛剤等の入手が困難となっています。歯科用医薬品問題への対応も質問しました。

福岡大臣は、「歯科診療でも使用される、解熱鎮痛薬等の感染症対症療法薬や局所麻酔薬については、昨年の需給状況を踏まえ、昨年12月、令和6年度の補正予算も活用し、これらの製造販売業者に対して増産を要請するとともに、本年1月、卸売販売業者に対し、適切な量の医薬品を供給するよう協力を依頼しています。引き続き、後発医薬品等の安定供給に向けて、足下の供給不足の解消や中長期的な産業構造の改革の双方にしっかりと取り組みながら、品質の確保された医薬品を安定的に供給できる体制を確立していきたい」と答弁しました。

歯科診療所等への医療用医薬品の安定供給について(協力依頼)

【要請書】医薬品安定供給実現のため薬価中間年改定の廃止等を求める要請書 – 全国保険医団体連合会

<1月17日厚労大臣記者会見>

保団連

25年薬価中間年改定では、平均乖離率5.2%を超えた後発医薬品が薬価引き下げ対象とされ、品目数は後発品全体の66%と報告されています。急激な薬価引き下げが後発医薬品の供給不安の原因の一つであり、引き下げる環境にないとの意見が業界団体からも出されています。今般の薬価引き下げで安定供給に支障が出ないとする根拠をお示しください。また、インフルエンザ等の感染症急増を受けて、出荷調整、増産要請などが実施されている感染症対症療法薬等が不採算再算定の対象とされました。限定出荷等の影響を受けて、歯科医療現場では、麻酔・解熱鎮痛剤等の入手が困難となっています。歯科用医薬品の安定供給に向けて、どのような対策が図られていますでしょうか。

福岡厚労大臣

まず、医薬品の供給不足に対する薬価上の対応としては、市場実勢価格を踏まえた改定を基本としながら、「基礎的医薬品」や「不採算品再算定」など、薬価を下支えする仕組みを設け、令和6年度の薬価制度改革でその対象拡大の取組を行ってきたところです。加えて、令和7年度薬価改定では、保険料負担の軽減と、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の両立が重要であるという観点から、品目ごとの性格に応じて改定の対象範囲を設定し、薬価の引き下げだけではなく、後発医薬品も含めた医薬品の安定供給の観点から、臨時的に不採算品再算定を実施するとともに、最低薬価を引き上げるなど、メリハリのある対応を行ったところです。歯科診療でも使用される、解熱鎮痛薬等の感染症対症療法薬や局所麻酔薬については、昨年の需給状況を踏まえ、昨年12月、令和6年度の補正予算も活用し、これらの製造販売業者に対して増産を要請するとともに、本年1月、卸売販売業者に対し、適切な量の医薬品を供給するよう協力を依頼しています。引き続き、後発医薬品等の安定供給に向けて、足下の供給不足の解消や中長期的な産業構造の改革の双方にしっかりと取り組みながら、品質の確保された医薬品を安定的に供給できる体制を確立していきたいと考えています。